今回は無線イヤホンと有線イヤホンの音質差を深掘りしていきます。
はじめに結論を述べてしまいますが、SOUNDPEATS様から提供していただいたxMEMS製 Cowellを採用した『Capsule3 Pro+』を体験してみたところ、MEMSドライバーの登場で無線イヤホンの音質の問題は解消されたと考えています。
この記事はサンプルを提供していただいた記事です。
有線イヤホンと無線イヤホンの音質差
まずは、有線イヤホンと無線イヤホンは音質差があると考えているなら、その差が生まれる原因を紹介していきましょう。
大きな情報量の差があった
音、音楽などの聞くものはデジタルなデータです。
そのデータをどのように伝送するかで差が生まれていました。
有線イヤホンの場合は、ケーブルで電気信号を伝送しています。
無線イヤホンの場合は、イヤホンと再生機器で通信を行って伝送しています。主な接続方式はBluetoothですね。
有線イヤホンであれば音源データをそっくりそのまま伝送できます。
しかし、無線イヤホンは通信方式による制約を受けます。有線イヤホンで伝送できたデータをそのまま伝送することができません。
そのため、情報量に差が出るため音質劣化が起こる場合がありました。
音質差が生まれるとしたら通信方式による制約を受けた結果、だいたいこのへんが問題になってきます。
音質差=音質劣化と考えて良いと思います。ただ、現状だとそうとは言えない状況になってきています。
高音質コーデックの登場
無線イヤホンは通信方式による制約を受けますが、ほとんど有線イヤホンと変わらない通信方式が開発されました。
有線に匹敵するLDAC
Bluetooth接続の場合、音源データのやり取りをコーデックと呼びます。データのエンコードとデコードを再生機器とイヤホンとの双方向で行うことで、音源を再生しています。
そのコーデックが音質に影響していました。従来の定番コーデックSBCだとサンプリングレートは48kHz/16bitです。ビットレートは328kbpsです。
スペック的には問題なさそうに思えますが、Bluetoothの伝送帯域には上限があります。約1Mbpsが上限です。そのため、1Mbpsを超えてくるハイレゾ音源やロスレス音源などが再生できません。
その高音質な音源を再生可能にしたのコーデックがLDACです。ソニーが開発しました。
サンプリングレートは96kHz/24bitです。ビットレートは最大990kbpsです。通信状況によってビットレートは変化します。
Bluetoothの伝送時にはデータを圧縮しますが、ロッシー圧縮とLDACを用いることで、ハイレゾ音源でもハイレゾ音質のまま伝送できます。
ハイレゾ音源だと1950kpbs程度、24bitであったりするので完全に再現とは言えませんが、ロスレス音源だと1150kpbs程度で16bitであったりするので、ロスレス音源ならほぼ再生できていると言えます。普段ロスレス音源を聞かない人からすると、有線イヤホンでも宝の持ち腐れ感がありますね。
ロスレス音源を無線イヤホンで聞きたい方でも、音質については心配がほぼありません。
LDACの競合でaptX HD等もあったりします。
実際に聴いて音質を比較してみる
実際に有線イヤホンと無線イヤホンを聴いて比べてみました。
今回は音楽を聴いたりするにも、PCゲーマーにも人気な有線イヤホン SENNHEISERからIE 100 PROと、無線イヤホンで定番になりつつあるSOUNDPEATSからCapsule3 Pro+を聴き比べしました。
ぶっちゃけ差というより好みの差
評価基準を設けるために、モニターヘッドホン SONY MDR-MV1で聴いた音とどちらも比較ということにします。
IE 100 PROはApogee BOOMというオーディオインターフェイスに接続、Capsule3 Pro+はPixel 7に接続し、どちらもプレイヤーはfoobar2000を使いました。音源はOTOTOYで購入したハイレゾ音源、同じ楽曲を再生しました。
さて、実際に聴き比べてみた感想です。
個人的には有線イヤホンと無線イヤホンで、圧倒的な差というほどの差は感じることができませんでした。
用途が全く異なる製品を比較したというのもありますが、音楽を楽しく聴くならCapsule3 Pro+の方がまとまりが良くて楽しめると感じました。IE 100 PROはインナーイヤーモニターということもあって、分析的に聴こえてしまいます。
周波数特性が異なりすぎると単純な音質比較がしにくくなるので、専用アプリからCapsule3 Pro+をIE 100 PROの周波数特性に頑張って近づけてみたものを聴きましたが、見てわかるように調整する前はかなりのドンシャリ傾向ですね。
外で聴く分には音楽に集中しきれないので、周波数特性についてそこまで気にすることもないと思います。個人的には楽しく聴ければなんでもいいかなと思っています。
高域の質感が向上したMEMSドライバー
しかし、意外なことに高域の質感がMDR-MV1に似ているのはCapsule3 Pro+でした。低域の分解能はIE 100 PROの方がMDR-MV1に似ていると思いました。
Capsule3 Pro+はMEMSドライバー Cowellが採用されていますが、IE 100 PROよりも高域の質感が優れています。シンバルの音のやアコギの弦の擦れるような音に対してのリアルさは大きな差があると感じました。ドラムのバスドラムのキックの空気感もかなり感じられるようになっています。
LDAC+MEMSドライバーの組み合わせは、TWSイヤホンの大きな進化を感じることができます。
実際にこの聴き比べをしているときに、PCで再生しているのかスマホで再生しているのかわからなくなる時が何度もありました。イヤホンのハードウェア的な音質の課題についてはクリアされていると思います。
Capsule3 Pro+の有線版があれば、普通に欲しいくらいです。
Capsule3 Pro+は1万円台でありながら、MEMSドライバーを採用したおすすめのTWSイヤホンです。
注意点
音質はLDACならとても良いんですが、みんな大好きiPhoneはAACコーデックにしか対応していません。
接続機器双方の対応が必要
高音質なコーデックは接続機器の双方が対応している必要があります。
再生機器、イヤホンのどちらもLDACに対応していなければ、接続方式はLDACを用いたBluetooth伝送になりません。
apple製品の場合はAACを用いたBluetooth伝送らしいので、LDACが利用できるイヤホンを買っても良さを最大限引き出すことができません。iPhoneの普及率が高いので、このへんが無線イヤホンは音質が悪いと言われる要因でもありそうな気がしますね。
遅延はある
音質が良い分、遅延があります。そのため、LDACでゲームをやりたい!というような使い方は提案できないことになります。
つまり、違う言い方をするなら、遅延が気になるなら有線イヤホン、そうじゃないなら無線イヤホンでもいいんじゃないかということです。
まとめ
それぞれのメリットをまとめていきます。
有線イヤホン
- 遅延無し
- バッテリーが不要
- 10万円越えの高価格帯もある
無線イヤホン
- 無線
- 音質は有線と同等
- TWS向けのMEMSドライバーでリアルな高域
音質については作曲などの用途に使わない限り、コーデックが高音質な音源に対応していれば満足できます。高域のリアルさはMEMSドライバーの方が低価格でハイクオリティな傾向になっていくと思いました。TWSイヤホンが普及してきたからこそ生まれた革新的な技術ですね。
個人的な感想として、無線イヤホンはスマートフォンで使うことが前提なので、専用アプリが開発されていることがほとんどです。手元で簡単にEQをイジったりすることができるのは地味に便利です。これをそのままPCでも使えるとかなり便利なのになと思っています。
有線イヤホンだとCPU処理のソフトウェアでEQを使うなら僅かではあるものの遅延が発生します。有線イヤホンの良さが半減します。DSPを搭載した再生機器を用いてDSPでEQをイジれるなら遅延が発生しませんが、そうではない場合、特にゲームの場合だと遅延は問題になりそうな気がしますね。
ワイヤレスイヤホンもUSB接続で使えるようにもしちゃえばいいんじゃないかと思っていますが、ワイヤレスヘッドホンだとそれができたりするので、ワイヤレスヘッドホンが欲しくなりました。
それくらいワイヤレス製品に期待を持てるイヤホンがCapsule3 Pro+ということでした。管理人のようにワイヤレスヘッドホンが気になっている人が、とりあえずどんなもんかを試す製品としてもアリだと思います。
高域のリアルさが光るCapsule3 Pro+は、Amazon プライムデーでお買い求めしやすい価格になっています。クーポンコードを使って新しい体験をしてみてはいかがでしょうか。
- クーポンコード:CP3PLPRM43
- 対象商品: SOUNDPEATS Capsule3 Pro+
- 利用期間: 2024年7月11日(木)0時 ~ 2024年7月17日(水)23時59分
- 割引: 本クーポンコードと、Amazon商品ページ掲載のクーポンを併用で約25%OFF