Truthearから販売されているZEROについてレビューを行っていきます。
このイヤホンはCrinacle氏とのコラボによって生まれたイヤホンで、低価格ではあるものの、その音質は実用的かつ自然さを売りにした製品になっています。そんなわけで、ハイコスパ製品であることも前提にしています。
Truthear x Crinacle ZERO イチオシポイント
- 見た目の質感が良い
- 力強く豊かで自然な低域
- 刺さらず捉えやすい高域
- 全体的に自然で聞き心地が良いサウンド
- ケーブルがそこそこ長い
結論から述べてしまうと、ZEROは実際に聴いてみても1万円以上のイヤホンと比べても全く劣らない音質になっています。場合によってはモニター系の大手製品よりはZEROの方が自然で良いと思える方も多いんじゃないでしょうか。
2DDということで低域モリモリ系かと思いましたが、そんなことも無く、とにかく良い意味で自然です。解像度は十分に高く、籠もった印象も一切無いため、サウンドチェックやモニター用途で使わないのであれば、ZEROでよっぽど満足できると思いました。
それでいて価格も¥6,999 (執筆時点) とそこまで高価というわけでもありません。『安い割には音が良い』というよりは『価格に見合わない音の良さ』という表現が正しいであろう、コストパフォーマンス抜群な製品になっています。
Truthear x Crinacle ZEROとは
ZEROはTruthearの2DDイヤホンです。
10mmと7.8mmのダイナミックドライバーが組み合わされています。ダイアグラムの素材はPU + LCPということらしいです。
シェルはレジンを3Dプリンターで造形しています。
その他の簡易スペック
- 感度は117.5dB/Vrms (@1kHz)
- インピーダンスは10Ω±15% (@1kHz)
- 再生周波数帯域は20Hz – 39500Hz
ギリギリではあるもののハイレゾ対応製品に近い高域再生能力があるようです。
購入した理由
ZEROの存在についてですが、実は1年前から知っていました。Crin氏のアカウントをフォローしたのもちょうどそのタイミングです。
ただ、個人的に大手のエントリークラスのIEMを購入していたこともあって、そこまで新興メーカーの製品に興味が持てなかったという思いもあります。
そして100ドル未満ではあるものの、当時は海外通販サイトであるシンセンオーディオから購入するしかなく、ドル決済で円安の影響をモロに食らうという状況でもありました。
逆にもう少し高価格帯であれば『いってしまえー!』といけたと思うんですが、そこまで高くないとなんか心理的な障壁があるんですよね。決済金額の送料との割合とか考えると、なにかついでに買えないと単品で購入したくないな的な。
それで、結果的にどうして購入することになったかなんですが、ふつうに日本のAmazonで買えたからです。しかも、シンセンオーディオのセールがAmazon.jpでも適用されていたんです。
そりゃ買わない理由が無いというわけでした。
届いたZEROをチェック
そういうわけでAmazonで購入したZEROくんが我が家に到着しました。
女性がプリントされている
こちらの方は誰ですか?
なにやら新興メーカーのイヤホンは、女の子 (と思わしき人物) をデザインに起用する傾向があるんですよね。
あんまりアニメとかについて関心があるわけでは無いので、ちょっとふつうのパッケージデザインが良かったというのはあったりする方もいると思いますが、実際のところはどうですか?自分だけですかね。
裏面には周波数特性のグラフがあります。見る人が見るとだいたい音の出方 (EQ的な) はイメージできると思います。管理人のイメージでは低域けっこう元気そうだなと思うグラフですね。中域は引っ込んでいると言うよりも弱ドンシャリっぽい程度に収まっている感じが伝わりました。
内箱を取り出してみると、長時間使うなら休憩もしてね、少なくとも1時間に1回は休憩してねという注意書きが現れます。
同梱物
同梱されていた付属品は以下の内容です。
付属品
- 取り扱い説明書
- ケーブル
- イヤーピース
- ケース
付属品の中にはフォームタイプのイヤーピースもありました。
外観を詳しくチェック
ここからはZEROの外観を詳しく見ていきます。
青系のフェイスプレート
ZEROは一般的なIEMのように、シェルとフェイスプレートの構造になっています。フェイスプレートは青系のなんとも言えないきらびやかさのあるデザインになっています。
模様のように見えますが、はっきりと何かの形に見えるわけではありません。この価格帯にしてはよく作り込まれたデザインだと思います。
若干透けたシェル
シェルもソリッドブラックというわけではなく、うっすらと中が透けて見えます。コーラのような色と言うとわかりやすいかもしれません。
シェル自体は少し大きめかと思いますが、耳のどこかに引っ掛ける構造にはなっていないため、極端な相性問題も起こりにくいです。
少し太めのステム
ステムは少し太めです。ただ、IEMだとこれくらいのステムであることはよくあるので、そこまで特筆するほどでもないかと思います。
芯のあるイヤーピース
ZEROのイヤーピースは、付属物という範囲を超えた品質のイヤーピースになっています。軸の部分は芯があり、耳穴に確実にホールドされるようになっています。
後述しますが、ZEROは付属のイヤーピースで聞くことが想定されているので、純正のイヤーピースが合うかどうかも製品選びで重要になってくる要素です。
使用感
ここからはZEROの使用感と、どんな使い方と相性が良いのか管理人目線で解説していきます。
イヤピ選定で音がかなり変わる
ZEROには複数のイヤーピースが付属しますが、管理人の場合は大きさに関わらず、どのイヤーピースでも良好なフィット感で使用することができました。
ただ、イヤーピースによって音質がかなり変わります。
付属するのはシリコンタイプのものは2種類、フォームタイプが1種類ですが、シリコンタイプを使うと音質傾向を変えることができるようになっているようです。
写真左側のイヤーピースだと球体に近い形になっていて、口径は小さいです。音質傾向としては特に傾向を持たせられていないように感じました。全体的にフラットに聞こえ、中域が目立つ弱カマボコにも聞こえるサイズのイヤーピースも選べます。
写真右側のイヤーピースは先に向かって補足なるテーパード形状かつ、口径が大きく傘自体も薄いです。そのため、特に耳穴周辺ごと塞ぐようにフィットしやすく低域と高域が同時に強調できるようになっています。
どちらで聞くことを想定しているのか、好きな方を聞いてほしいと思っているのか謎ですが、とにかく付属のイヤーピースはすべて試す価値があります。
地味に便利な長めのケーブル
ZEROのケーブルは約140cmで、平均的に120cmのケーブルが付属してくるIEM付属のケーブルとしては少し長めになっています。ケーブルが長いと単純にデスクで使用するときの取り回しが良いです。オーディオインターフェイスを使用したりする場合、機材背面に接続することもあります。そういった場合、120cmだとけっこうギリギリだったります。
また、耳にかける部分ははじめからカーブが持たせられていて、短時間の間につけ外しを繰り返す場合でもワイヤーでフィットさせる煩わしさがありません。
コネクタ埋込式タイプの2ピンで、まさにCIEMに付属するようなタイプです。実用性という観点から考えても結局はこのタイプが使い勝手は良いです。伊達にCIEM標準採用ではありません。
音質
前述したとおり、イヤーピースによって音質傾向が変わります。
ここでは全体的な傾向についてチェックしていきます。
適度な解像度と分離
管理人はApogee BOOMというオーディオインターフェイスで視聴しましたが、良くも悪くもダイナミックドライバーのイヤホンらしさ全開の音質だと思いました。最近のダイナミックドライバーを採用するTWSと、音質傾向はけっこう似ているような印象があります。中域はスッキリかつ低域はボワボワせず量感もあります。それでも分離が良く、アンサンブルも聞き分けが可能です。ただDD×BAのハイブリッドほどではありません。
パキパキに輪郭が分かるわけではありませんが、サ行が刺さるような歯擦音は全く感じられないものの、シンバルのような高域が聞き分けられないかとい言われるとそうでもありません。うるさくない程度にきちんと聞こえてきます。
解像度と分離感という部分は余裕でクリアしていて、あとはコレ以上に高音域を聞こえるようにしたいかどうかが人によって変わってくるんじゃないでしょうか。
元気な低域に中域が埋もれたり、中域が引っ込みすぎて息苦しさがあるということはありません。全体的に素直で自然な出音になっています。
また、イヤーピースを変えることである程度は解像度と分離以外の特性は変更できるようになっています。付属品だけで低域と高域の出具合を調整することが可能になっているので、自分の好みに近づけやすく製品としてレベルが高いです。
良くも悪くも硬さの無い高域と中域を邪魔するほどでもない低域で、無難かつマストな音質になっています。
ゲームをやろうとなるとモニターイヤホンだと銃声等が尖すぎるので、これくらいが本当にちょうどいい塩梅です。音楽も楽しめます。
まとめ
ZEROについてレビューを行ってきました。
解像度と分離は十分に良いイヤホンです。1万円台のイヤモニとどっちが良いかと聞かれると、鋭さが要らないのであればZEROを買っといたほうがいいと思います。正直ぶっ壊れ性能です。
おすすめできるのはこんな方
- 解像度と分離は必要なだけでいい
- 無難でマストな音質が良い
- ケーブルは長めが良い
ZEROは¥6,999 (執筆時点) の割に、音質が良いだけでなく豊富なイヤーピース、140cmのケーブルと付属品も充実しています。イヤーピースは特性が変更できるように2種類あるので、とりあえずどちらも全サイズ試してみることをおすすめします。
個人的にリケーブルよりもイヤピを変える方が効果的だと思っています。どの形状を着けるとどんな風に音が変わるのかを知ることができること、また、そのことを知っている人にとっては楽しむ時間が長くなること、そういった意味でも価格以上に内容の詰まったイヤホンです。
はじめの一台にもいいですし、いろいろと経由してからの一台でも奥深さを知らしめてくれるハイコスパなイヤホンです。
なんだかんだメインでずっと使ってしまっているので、迷っている方は実際に買ってみていろいろ試してみてください。とりあえず、これからのド定番イヤホンとして名を馳せることになる実力はあります。
モニターイヤホンだと高音域が刺さってしまうように聞こえる場面でも、ZEROなら自然さを保ってくれて、音場だけでなく定位もしっかりしています。ゲームにも最適な性能なので、是非、多くの人にチャレンジしてみてほしいですね。
ココが良い
- 価格以上のクオリティ
- 見た目も良い
- 必要にして十分な高音質サウンド
- イヤーピースが豊富
- ケーブルが長め
ココはイマイチ
- ケースは使いにくい