Apogeeから販売されているBOOMについてレビューを行っていきます。
はじめにお断りさせていただきますが、管理人はBOOMを『ゲーム配信用途』で購入し、実際にゲームプレイやら音楽鑑賞やらでサウンド・音を聞いたり、VCで会話してみたり配信であーでもないこーでもないと雑談をしてみたりしたことをこの記事で紹介しています。
歌配信や音楽制作の用途には一切使えていないので、その辺の使い勝手が気になる方向けの踏み込んだ説明はできません。本当にごめんなさい!
そんなわけで今回はApogeeのエントリークラスであるオーディオインターフェイスを購入したので詳しくチェックしていきます。
Apogee BOOM イチオシポイント
- 見た目の質感が素晴らしい
- DACにESS SABRE DACを採用
- ゼロオーム・ヘッドフォンアウト
- DSP内蔵で多機能な音質調整が可能なECS Chanel Strip
- ダイナミックマイクでも音量に問題がないマイクプリアンプ
結論から述べてしまうと、BOOMはコストパフォーマンス抜群なオーディオインターフェイスです。配信という用途だと、その他定番な製品はたくさんありますが、そのなかでも『話す・聞く』で高音質を実現している製品はあまり多くないと個人的に思っています。
例えば、もっと低価格な製品を選んだ場合、配信の特性上の問題でダイナミックマイクを使おうと思ったら、マイクゲインが足りずに結局別のマイクプリアンプを外づけしてBOOMが購入できる金額になっていたり、お求めやすい価格なだけでヘッドフォンアウトのモニタリング音質があまり良くなかったりします。
また同じくらいのスペックの製品だと音が良くてもプラグインが使えなかったりもします。BOOMは有料 Apogee 製プラグイン『ECS Channel Strip』が無料で使えるだけでなくDSPで処理できるため、PC本体に負荷をかけることなく快適な音声入力が行なえます。
そしてつい最近ですが、価格改定が行われ、もともと¥44,900だったBOOMは¥35,200で買えるようになりました。 (記事執筆時点)
そんなわけで『いまオーディオインターフェイスを持っていない・購入を検討しているという方』にはApogee BOOMがほんとにちょうどいいタイミングです。
Apogee BOOMとは
Apogee BOOMはApogeeではエントリークラスに位置するオーディオインターフェイスです。
エントリークラスと言っておきながら抜かりのない装備で、音楽制作をしないのであれば過剰とも言えるスペックになっています。
聞く装備
- ハイエンドAD/DAコンポーネント「ESS SABRE (Sabre) DAC」を搭載しモニタリングだけでなく音楽鑑賞も高音質にできる
- Apogee上位機種にも搭載のゼロオーム・ヘッドフォンアウトによりヘッドフォンのインピーダンスを気にしなくていい
話す装備
- マイクプリアンプはクラス最高レベルの62dBのゲインを実現し、ダイナミックマイクでも十分な集音が可能
- ハードウェアDSPを搭載し、Symphony ECS Channel Strip を使えば、3バンドEQ、Comp、Driveで音作りができる
スペック
種類 | 小型オーディオインターフェイス |
装備 | ハードウェアDSP ゼロオーム・ヘッドフォンアウト |
ビットレート/ サンプルレート | 最大24bit/192kHz |
ボリューム/マイクゲインコントロール | 本体のコントロールノブで調整可能 |
ヘッドホン出力 | 6.3mm |
対応コネクター | USB-C – USB-A (USBバスパワー) |
マイクミュートスイッチ | 無し |
ソフトウェアコントロール | 可能 Symphony ECS Channel Strip |
ループバック | Apogee Loopback機能 |
購入した理由
僕が購入した当時です。ちょうどMOTU M2がリファービッシュ品を特価で販売していました。
そうです。何を隠そう、管理人もはじめは今や定番のオーディオインターフェイス MOTU M2を購入する気マンマンだったわけなんです。
しかし、特価品販売がされたその数ヶ月前にApogee BOOMがリリースされていて、その紹介の中でMOTU M2と同じESS SABRE DACを搭載しているとの情報があったんです。MOTU M2に求めるのは音質です。その音質の保証はESS SABRE DACがしているようなものじゃありませんか。
うーん、MOTU M2ってそれなりに普及してるし、どうせ買うならあんまり持っている人がいなさそうな製品でもいいのでは?と、もう一人の僕が右後頭部から囁きます。だってBOOMもESS SABRE DACを搭載しています。
しかも、BOOMはMOTU M2と違ってゼロオーム・ヘッドフォンアウトも搭載しています。管理人は日頃からIEM・イヤモニでPCサウンドを聞いているので、ヘッドフォン向けな高インピーダンスのオーディオインターフェイスだと出力特性爆死案件間違いなしでしょう。イヤモニ派の管理人はBOOMを買う意義がちゃんとあります。
さらにSymphony ECS Channel Stripなんていう弄くり倒し甲斐のあるプラグインも使えるわけです。
そんなこんなで迷っていると、当時¥44,900だったBOOM君も歳末セールで¥42,900になったうえにポイントも10%還元になってしまいました。
どうする…
ポチイィッ!!!!!!!!!!!!!
MOTU M2を購入しました! pic.twitter.com/zC9vKnoHu7
— パウブロ | ゲーミングPCの周辺機器とガジェット (@powblo) December 16, 2022
届いたApogee BOOMをチェック

Apogee BOOMは音楽制作や動画配信に向けて作られていますが、クリエイター向けということになるので、パッケージデザインは簡素になっています。プロ向け製品よろしく、中身だけが商品ですよ的な感じですね。
『BOOM買えてマンモスうれピー!外箱は部屋に飾ったろ~!』という方は、素っ気ない箱が届いてひっそりと悲しむことになるので要注意です。

裏面もこんな感じにシンプルです。ガチンコなコンシューマー向け製品ではない製品はこんなもんでしょう。取説やらなんやら見ることになりますし、ペーパーレスが進んでいますから、PDFで取説を読む時代でもあります。
そのくせ紙ストロー普及させるってどういうことっすかね!

セキュリティシールが貼られているんですが、国内代理店がマニュアルやらなんやらを入れたり検品するために開封されたシールの上にセキュリティシールが貼られています。シールonシールです。

マニュアルやらなんやらがこのペラペラの中に入っています。日本語のマニュアルもここに書かれているリンクから飛んで見る感じです。代理店様が作ってくれたものです。この紙を大事にしてください。
わざわざ輸入後に一度でも人の手によって何かが入れられていると思うと『工数がかかってんな』と思わざるを得ませんね。なんか得した気分です。

素っ気ない箱をパカッと開けてBOOM君とご対面です。しっかりと保護されていて動かないようになっています。
外観と細部をチェック
ここからはBOOMの外観をチェックしていきます。
唯一無二パープルの筐体

管理人の決め手になったひとつのポイントとして『見た目の良さ』があります。BOOMはなかなかに珍しいパープルカラーの筐体で良くも悪くも『機材感』が少ないと思っています。
表面にはインプットが2つ、ボリューム/ゲインのコントロールノブがあります。

裏面にはスピーカーアウトとヘッドフォンアウトのアウトプットが2つです。BOOM側はUSB-C端子ですが、Windowsの場合はPC側にUSB-Aで接続します。
シンプルな外観と操作

BOOMは高品質なハードウェアを搭載するために操作面でコストダウンを試みているようです。インジケーターランプはあるものの、MOTU M2のようなビジュアルのよろしいメーターは存在しません。そしてボリュームとゲインは押し込みによる切り替えのためにノブが共有です。
その代わりにDSPプラグインのSymphony ECS Channel Stripの操作性が神がかっています。配信という用途だと設定を終えたらほとんどノブをいじることも無いと思うので、ここはあんまりネガティブな要素として考えなくて良いんじゃないでしょうか。

本体サイズもそこまで大きくないのでデスクの邪魔になることも無さそうです。シンプルだからこそ、ごちゃごちゃした雰囲気のデスクにしたくない場合なんかはとても好相性なんじゃないでしょうか。
使用感
ここからはBOOMの使用感についてチェックしていきます。
ぶっちゃけ使い方という部分は人によりけりだと思います。ただ、ゲーム・配信という用途において過剰なくらい使い勝手が良いです。その辺について説明していきます。
ヘッドフォンアウトは果てしなく音質が良い

もうこのために買った、USB-DACとして使いたかったという管理人の要望はMAX果たせています。
今まではSHURE MV7のヘッドフォンアウトを使っていたんですが、それと比べると『どう良い』とかそういう次元を通り越しています。音の厚みや奥行きが明らかに段違いです。低域は厚く深く高域は細らず芯があります。
ただ、オーディオインターフェイスなので変な味付けは皆無です。そのため、艶のある音を楽しみたいという場合においては不向きかもしれませんが、録音された正しい音を聞くという用途では抜群の相性を発揮してくれます。もうこれで聞いときゃ間違いないっしょ的な安心感があります。
正しい音という定義も曖昧ではあるんですが、例えばイヤホンやヘッドフォンの出力特性を無視したような過剰なイコライジングを行っている場合『これがニュートラルなサウンドかぁ』と浄化されること間違いなしでしょう。出力特性の合ったイヤホン・ヘッドフォン探しが行えることに繋がります。
そう言えるのもBOOMに搭載されたゼロオーム・ヘッドフォンアウトがあるからこそです。BOOMでは低インピーダンスなイヤモニでも出力特性が変わらないように0.5Ωのアウトプットインピーダンスになっています。そのため、どれだけ反応の良いイヤモニでも本来の音が出せるようになっています。低域がボワボワしたり高域がシャキシャキしすぎたりということは起こりません。
とは言え、その使いたいイヤモニがスマホ向けだったりすると意図的にインピーダンスをいじっていたりするわけですから、どんなアウトプットインピーダンスを想定して作ったのかという背景は知っておくといいかもしれませんね。
個人的にはバランスドアーマチュアのイヤホンとダイナミックドライバーのイヤホンで極端な音質差が無くなったので、BOOMで良かったと言えます。
圧倒的に使いやすいApogee Control 2

BOOMをPCに接続してドライバーやらなんやらをインストールするとApogee Control 2が使えます。このソフトでいろいろとゲインやらボリュームやらを細かく設定できます。本体ノブが使いにくいとかそんなことを忘れさせてくれます。こっちならビジュアルメーターも見えます。
素晴らしいことにバグというバグも無く、安定しないということがありません。
ミキサー機能も兼ね備えているので、自分の声とPCの音を混ぜて入力したり、自分の声を聞きながらPCの音も聞いたりなんてことが可能になっています。ここは書くとキリが無いので詳しくは購入後に取説をチェックです。

Symphony ECS Channel Stripにもアクセスできるようになっています。プリセットもたくさんあるので好きなものを選んでそこからいじっていくといいんじゃないでしょうか。
また、DSPで処理してくれるので配信ソフト側で設定するよりも負荷が少ないです。ハイエンドPCなんかになるとそこまで影響は出ないかもしれませんが、遅延は極限まで少なくできるのでほぼハードウェアコンプが使えるぜ的な受け止め方でいいと思います。

プリセットも保存できるようになっているので、いい感じにいじったら保存しておくことができます。とは言っても配信では話し声が抜けないなどというトラブルが無い限りコンプを使うくらいなんじゃなかろうかといったところではあります。
まとめ

Apogee BOOMについてレビューを行っていきました。
オーディオインターフェイスなので、使い方は人それぞれになってくるところではありますが、音楽制作でもしない限り不満は出ません。事実、ゲーム配信用途に買った管理人はBOOMを使いこなせていません。日本語の取説を読みながら適切にドライバーなどをインストールしていくと、誰でも難しいことなく直感的にすぐ使えます。
そんな管理人でも、マイク入力のためにオーディオインターフェイスとして使う・USB-DACとして使うという目的で購入したわけですが、しっかりと活躍してくれています。MV7でもゲインをMAXにすることなく爆音で録音することができますし、イヤモニも出力特性を気にすることなく超高音質でガシガシ使えます。
それで¥35,200 (記事執筆時点) なんですから、コスパ抜群と言ってしまっていいでしょう!単品で揃えていくと確実に超えていくであろう金額に抑えられています。
おすすめできるのはこんな方
- 予算があって確実なオーディオインターフェイスを狙いたい
- 極端なEQは使わずにイヤモニでもゲームサウンドを聞きたい
- ゆくゆくはダイナミックマイクを購入したい
個人的に感じたことですが、そこそこ安価なオーディオインターフェイスを買ったあとに追加でマイクプリアンプを購入するくらいなら、はじめからパワフルなBOOMを逝っとこうかと背中を押したいですね。マイク音質も当たり前のように良いです。
ただ単に、マイク入力用途としてだけでいいという場合であれば、Symphony ECS Channel Stripとゼロオーム・ヘッドフォンアウトを削ってMOTU M2もアリなのかなとも思います。ただリファービッシュ品でもなければ価格はBOOMとそこまで変わりません。
MOTU M2と比べるとBOOMは多機能です。配信をしなくてもそもそも内蔵DSPでコンプが使えたり、エフェクトの掛け録りができたりします。その機能とゼロオーム・ヘッドフォンアウトに意義を感じる場合はこの価格帯では1択になってはいるので、手放しでおすすめできます。
冒頭にも述べましたが『今はまだオーディオインターフェイスを持っていない・これから購入予定で新しい製品のほうがいい』という方には今まさにちょうどいい製品で、ちょうどいいタイミングです。
日本の住宅事情を考えると配信にはダイナミックマイクの特性がマッチしています。そのダイナミックマイクを最大限有効活用するなら、マイクゲインが余裕で足りるオーディオインターフェイスが必要です。
少し多めに予算を確保することになってしまうかもしれませんが、必ず買ってよかったと思えるだけの装備がBOOMにはありますよ。
ココが良い
- 見た目が良い
- ヘッドフォンアウトの音質が素晴らしい
- ゼロオーム・ヘッドフォンアウトでイヤモニでも◎
- ダイナミックマイクでも爆音で集音できる
- 専用ソフトが直感的に操作できる
- 価格改定でコスパが良くなった
ココはイマイチ
- 筐体正面の派手さは無い
- スピーカーアウトとヘッドフォンアウトは同時に使えない
サウンドハウスなら在庫があるみたいです。