SHUREから新発売のMV7+についてレビューを行っていきます。
配信でド定番のダイナミックマイク『SHURE MV7』が『MV7+』として刷新されました。市場参考価格は46,200 円(税込)です。
そんなMV7+をシュア・ジャパン様から提供していただいたので、実際に使っていきながら詳しくチェックしていきます。
SHURE MV7+ イチオシポイント
- より実用的で強力になったソフトウェアMOTIV Mixが登場
- マイク配置の自由度が向上するリアルタイム・デノイザーの採用
- 吹かれに弱かったポップガードが改善
- バーチャルオーディオドライバーの追加
- 端子が高耐久なUSB-Cに変更された
結論から述べてしまうと、ずいぶんと前にレビューしたMV7と同様に、あまりにも高いその完成度から『ぶっちゃけコレ一択』と呼べる配信用のダイナミックです。
MV7は視界の邪魔になりにくい形状で、配信向けな音声処理機能が豊富な製品でした。MV7+はその良さを受け継いだまま、ソフトウェアがさらに実用的なものに強化されました。予算があるならコレというよりも、よそ見をせず、このマイクのために予算確保を優先させたほうがいいと思える製品です。
簡単な紹介はこの辺にして、管理人が所有する定番の配信向けマイクと比較しながら、音質やその他の特徴とあわせてMV7+を詳しくチェックしていきます!
この記事はシュア・ジャパン様の提供でお送りするPR記事です。
サウンドハウスはポイント還元率が高いです。要チェックです。
MV7+とは?
MV7+はSHUREの配信用マイクであるMV7の後継機です。
まずはざっくりとしたMV7+の説明をします。
簡単に言ってしまうと、配信に特化させたUSB接続のダイナミックマイクですが、以下のような特徴があります。
主な特徴
- 配信向け設計なエンドアドレスのダイナミックマイク (ムービングコイル式)
- 専用オーディオインターフェイスを内蔵することでUSB接続で使用可能
- 別途オーディオインターフェイスを用いたXLR接続も可能
- ポップガード・ウィンドスクリーンをあらかじめ装備 (視界や顔を遮りにくい設計)
- 振動への強さに定評にあるマウントを採用 (マイクを抱え込むマウント設計)
- 専用ソフトウェアできめ細かな音声設定が可能 (MOTIV Mix)
- 極めて高音質なイヤホン・ヘッドフォンアウトを採用 (3.5mm ステレオミニジャック)
元となるMV7と同様に、引き続きSHUREが配信用途で本格的な音声録音を可能にするために送り出したマイクがMV7+です。
スペック
タイプ | ダイナミック型 (ムービングコイル方式) |
指向性特性 | 単一指向性(カーディオイド) |
A/D コンバーター | ビットレート 16 または 24 ビット サンプリングレート 44.1 または 48 kHz |
ソフトウェア | MOTIV Mix MV7+のDSPの設定 (ゲイン、コンプ、リミッター、オートレベル、トーン、リバーブ、デノイザー、ポッパーストッパー、ハイパスフィルター) バーチャルオーディオドライバーによるミキサーおよびレコーディング機能 |
周波数特性 | 50Hz ~ 16,000 Hz |
調整可能なゲイン幅 | 0 ~ +36 dB |
XLR 感度 | -55 dBV/Pa (1.78 mV) |
USB 感度 | 33 dBFS/Pa |
USB接続の最大SPL | 128 dBSPL |
ヘッドホン出力 | 3.5mm ステレオミニジャック |
電源 | USB バス電源から電力供給 |
取り付けタイプ | 5/8″-27 スレッドマウント |
重量 | 573.5g |
スペックだけを見るとダイナミックマイクらしく感度が低く見えますが、それはXLR接続のときの話です。そのままのXLR 感度なら、本来であればマイク距離が3cmくらいなら+50 db相当のゲインが必要ですが、USB接続での調整可能なゲイン幅は+36 dbとなっているので、USB接続時はプリアンプで音量が増幅されるということになります。
MV7+にはオーディオインターフェイスとプリアンプが内蔵されているので、マイクが遠くても必要な音量をクリーンに稼げるようになっています。
また、注目すべきなのは最大SPLが128dBとなっているところです。よほどの大声で叫んでも、マイク自体がクリップすることはありません。配信向けマイクの物理的な仕様としては、かなり高水準なマイクです。
そして、今回は新たなソフトウェアである『MOTIV Mix』でのコントロールを前提としています。
試した理由
突然ではありますが、この記事を読んでいる皆さんはマイクの選定基準を持っていますか?
自分はたくさんマイクのレビューを繰り返してきたことから明確な基準を持っていて、それを満たすであろう製品を試すことにしています。
パウブロの選定基準
- エンドアドレスであること
- 別途ポップガード・ショックマウントが不要なこと
- 指向性がそれなりに正確であること
- USB接続の製品ならコンプ等の音声処理機能が使えること
自分の場合、意外なことに音質はそこまで気にしていなかったりします。それよりも、周囲の余計な音を拾わないようにするマイク配置 (マイキング) をしたときに、視界の邪魔になりにくい形状を優先していたり、マイクで顔が隠れないようなカメラワークが実現できるかなど、配信現場で実用的であるかどうかを重視しています。
今回のMV7+もマイクの天面から収音する『エンドアドレス』タイプなので、顔を隠すことなく視界の邪魔にもなりにくいマイク配置を実現できます。また、別途ショックマウントとポップガードが不要と言い切れる高品質なマウントを装備しています。追加の装備が不要なことも約束されていますね。
指向性がそれなりに正確であるかどうかは実際に試してみるまで分かりませんが、細かな音作りが可能になっているSHUREのコントロールソフトウェア『MOTIV Desktop』の便利さはMV7の時に体験していたので、音声処理機能にも期待ができます。
そんなわけで、MV7+は自分の選定基準を満たしていました。やったね!ハッピー!
届いたMV7+をチェック
我が家にMV7+がやってきました。ジロジロと確認していきましょう。
MV7と共通イメージのパッケージ
MV7を持っている人には分かるであろう、あのイメージが続投されたパッケージデザインとなっています。SHURE製品の中でも明確にコンシューマー向けの製品なので、分かりやすさが前面に押し出されています。
背面にも製品の特長がびっしりと書かれていて、どんな製品なのか事前に確認できるようになっています。スマートフォンが対応していることが前提ですが、一部のスマートフォンでも使用できるようになっています。
さらに今回、MV7+の思い切ったところはカラフルなLEDタッチパネルでもあるので、そちらもパッケージにプッシュされています。
ほんとにパッケージの小ネタ要素ではあるんですが、MV7ではSHUREのブランドカラーであるグリーンだったメガネは、カラフルにグラデーションするメガネに変わっていました。
変わったところもあれば変わらないところもある的なメッセージを感じます。いろんな要素を引き継いでいるようです。
変更された付属品
早速開封していくと、WELCOME TO BETTER SOUNDの文字が出てくるのもMV7と同じでした。
さらにパカっと開けていくとMOTIV Mixをダウンロードしてねというメッセージが出てきました。強い意志を感じます。なにやら究極のコントロールらしいですね。
付属品を確認していきます。
同梱物
- クイックスタートガイド
- ウィンドスクリーン (装着済み)
- 変換アダプター
- USB-C to C ケーブル (3m)
地味な変更点として、ケーブル径が太くなったのと折り曲げずに丸めて梱包されているため、巻き癖がつきにくく取り回しがしやすくなっています。
そして長さも3mと、USBマイク付属のケーブルとしてはかなり長めです。だいたいのUSBマイクは2mであることが多いです。
外観と装備をチェック
ここからはMV7+のデザインや装備についてチェックしていきます。
SM7Bにインスパイアされたデザイン
このMV7+のデザインを気に入って購入を検討している方はとても多いと思います。デザインソースとなったマイクはSHUREのSM7Bというプロ向けのダイナミックマイクです。
せっかくなので、少しばかりSM7Bと外観を比較してみましょう。
これが管理人の所有するほぼSM7BなSM7dBです。プリアンプが内蔵されたSM7Bです。
SM7B、SM7dBの”SM”は”スタジオマイクロホン”の略です。
つまり、コンシューマーであるPCゲーマーや配信者に120%適しているというわけではないかも?なプロのレコーディング向けマイクということらしいんです。なんの問題も無く普通に使えるんですが、やっぱり注意点はあります。
価格の面であったり、オーディオインターフェイスを揃えないといけない面であったり、そのオーディオインターフェイスの使い方を覚えないといけなかったり、いろいろな面で導入のハードルは高いです。
また、録れる音も、楽器やボーカルを録音する用途にマッチしていると思えたえりすることもあります。
MV7+はそのSM7Bっぽさを受け継いだデザインで、配信向けに調整された音質、ソフトウェアの機能面で配信に特化させています。しかし、ハードウェア的な要素はSM7Bを踏襲しています。
詳しく装備を確認してみましょう。
マウントとウィンドスクリーン
MV7+のマウントは、SM7Bのようにカモメの翼のようなマイクを抱きかかえる設計のマウントを採用しています。マイク角度を細かく調整できるようになっているのですが、機能はそれだけではありません。
マウント部分をよく見てみないと分かりませんが、ウレタンが仕込まれていて衝撃吸収をしてくれるようになっています。
部品の面積は小さいんですが、とても効果的な衝撃吸収効果を持たせられています。デスクからの不要な振動を拾わないようになっていて、ただ見た目のだめだけに『配信マイクっぽいそれっぽさ』を持たせているわけではありません。
そして、ウィンドスクリーン、ポップガードも機能性を重視したものになっています。
ウィンドスクリーンはMV7から刷新されたポイントです。MV7+ではさらに機能面が強化されました。ウレタンの質感、先端の厚みと長さが変わったことで、吹かれに弱く、ボフボフとした音になってしまいやすかったMV7の弱点を克服できています。
また、MV7+はデジタルポップフィルターを使うことができます。さらにポップノイズを除去できるようになっているので、ボフボフ音には十分な対策が期待できます。
背面の端子
MV7+は、ついにUSB-C端子が採用されました。頻繁にケーブルを抜き差ししても、端子がスッコスコになりません。
担当者の方も『みんな大好きUSB-C!』と言っていたので、待ち望んでいた方も多いんじゃないでしょうか。
とにかく『うーん、MV7なぁ、USB-Cだったら買ったのにな…』という方には朗報ですね。
そしてMV7と同様に、XLR接続もできるようになっています。
PCの音を聞いたりマイクの音をダイレクトモニタリングできる、3.5mm ステレオミニジャックも引き続き採用されています。
端子類については抜かりがありませんね。
使用感
ここからは配信用途でのマイクアームによる使用感について詳しくチェックしていきます。
マストでベストな使い勝手
定番マイクアーム RODE PSA1+に取り付けて使ってみました。さらにマイクをたくさん持っている関係で、マイク比較時に取り外しが簡単になるようクイックリリースを使用しています。
さて、MV7+の使用感なんですが、やっぱり、
うーん、やっぱりここに帰ってくるのか。
そもそも管理人が3つ目に購入したマイクがMV7だったということ、使用期間も長かったということもあるんですが、いざ使ってみるとやっぱり完成されたマイクだと思ってしまいます。
顔を隠さないように&視界の邪魔にならないように配置するための取り回しのしやすさは神がかっています。
自分は口元から指3本分くらいの距離にマイクを配置するようにしているんですが、MV7+は口に近づけても視界の邪魔にならないようにマイクを立てること (マイク配置) ができます。
マイク配置のTips
- マイクを口に近づけることで周りの音に対して相対的に声を大きく収音できる
- 環境音ができるだけ小さく収音されるようになる
- 部屋の余計な残響音や反響音を拾いにくくなる
- 録音される声のボリューム、レベルを大きく稼げる
- マイクゲインをできるだけ小さくできるようになり低ノイズな音声になる
自分が最も重視しているポイントがまさにこういった『配信現場向けであること』です。
いくら音質が良くても口に近づけると視界の邪魔になるなら、ゲーム中や配信に使ううえでは用途にバチっと合っているマイクとは言えません。皆さんにもマイクの購入前に注意してもらいたいポイントです。
そして、MV7+はマイク天面から収音するエンドアドレスタイプなので、口に対して斜めにマイクを立てることもできます。先端が口に向いていれば声を拾ってくれます。
冒頭でも説明しましたが、このマイク配置を実現したいからこそ、マイクの指向性の正確さを重視しているわけです。マイクの指向性が正確でないと、少しでも収音軸から外れたときに極端な音量差が生まれて聞き取りにくい音声になるからです。
マイクの角度も秀逸なマウントのおかげで細かく調整することができるようになっているので、イライラさせられることもありません。狙った音をうまく収音することができます。
下からにょきにょきさせるマイク配置もお手の物です。マウントを回転させることで、ロゴの向きをそのままにすることができます。
下からにょきにょきさせてたい方はけっこう多いと思いますが、MV7+なら何も問題はありません。思う存分にょっきりさせてください。
下からにょきにょき配置でも視界の邪魔になりません。マイクの角度も自由に細かく調整できるので、姿勢に合わせてうまく声を拾わせることができます。
タッチパネルで即座にミュート
MV7+には新しいタッチパネルが搭載されました。自分の好きな色に光らせたり、マイクの入力レベルを監視したり、好みに合わせて使うことができます。
明るさも暗くしたり明るくしたりの調整ができるようになっています。
タッチすると赤くなってミュートになります。MV7だとこのタッチパネルに様々な機能を盛り込んでいて、ミュートボタンが小さかったんですが、MV7+は全体がミュートボタンになっています。どこでも触れさえすればミュートです。
ただ、これは似たような設計のマイクでも成せる業ですよね。
MV7+の本当の究極の使用感はここからが本番でした。
音声サンプルと音質傾向のチェック
ここからはマイクとして肝心なMV7+の音質について、管理人が録音した音声サンプルを確認しながら詳しく見ていきましょう。
先にお伝えします。とんでもねえマイクが開発されてしまいました。MV7+は一般的なマイクの基礎知識を無視する機能を持ち合わせていました。
音声サンプル
実際にこんな感じでセッティングしました。
MV7+をPCに接続して設定を一切いじらずそのまま録音した音声です。
- マイク距離は口元から3cm
- 口の脇からマイキング
- オートレベルモードとリアルタイム・デノイザーがON
聞いてみてどうでしょうか。
同じセリフを2回言っていますが、2回目はキーボードをランダムに打鍵しています。
口から3cmの距離にマイクを配置したということもあって、発声している間はキーボードの音がほぼ聞こえません。意識してがんばると聞き取れるくらいの関係性になりました。これくらいの音量ならBGMやゲームサウンドに紛れて聞こえなくなるでしょう。
オートレベルモードで録音しましたが、自分が配信で使うときのボリューム、レベルとほぼ同じになりました。ゲイン調整の必要性が無く、音量差の違和感も全くありません。
コンプレッサー (大きい音を均す) とクリップ (音割れ) させないようにするリミッターが適用されているようです。
コンプレッサー
- 大きすぎる音を均す
- 極端な音量差を防ぐ
- 配信でもマストな機能
リミッター
- 最大レベルを設定
- どれだけ大きい音でも設定値になる
- 音割れしなくなる
また、不要な打鍵振動やファンノイズも全く聞こえてきません。ボフボフとした吹かれの心配も無く、残響音 (部屋鳴り) も少ないので音響が調整されていない一般的な部屋でも質感の高い音声が録音できます。
音質は少し硬めな気もしますが、はっきりくっきりとした輪郭でBGMやゲームサウンドと被ったときでも埋もれにくい音声になってくれます。
初心者の方がただ繋ぐだけでイイ音で使えるようになっているようです。
マイク配置のTips
- マイクを口に近づけることで周りの音に対して相対的に声を大きく収音できる
- 環境音ができるだけ小さく収音されるようになる
- 部屋の余計な残響音や反響音を拾いにくくなる
- 録音される声のボリューム、レベルを大きく稼げる
- マイクゲインをできるだけ小さくできるようになり低ノイズな音声になる
指向性も正確で扱いやすい
配信となると顔の向きが一定ではないことに加え、顔の向きにマイクが追従できていないことを想定して、三方向からの収音性を検証してみました。
配信だと、2画面でコメントを確認しながら話したりしますよね。そういうときは顔の向きが変わっていてマイクが拾う音も変わってます。
カプセル正面、カプセル側面、マイク背面から録音した音声です。こちらも設定はいじらずに録音しました。
その他の配信向けマイクの音声サンプルも聞いてみてください。比較したのはすべて定評のある配信向けXLRマイクです。
Earthworks ETHOS (8万円台)
SHURE SM7dB (6万円台)
sE Electronics DynaCaster DCM8 (3万円台)
TC Helicon GoXLR Mic (2万円台)
RODE PodMic (1万円台)
聞いてみてどのように感じましたかね。
個人的には、ほぼ4万円のsE Electronics DynaCaster DCM8と、かなり近い特性のマイクなんじゃないかと感じました。sE Electronics DynaCaster DCM8はカーディオイドのダイナミックマイクで、SM7Bに近い特性だと感じたマイクです。
MV7+もカーディオイドのダイナミックマイクです。カーディオイドというのは単一指向性です。
MV7+は標準的なカーディオイドで、側面から録音した音声もとても実用的です。収音軸を外れたときの音量減衰も少なめです。
やっかいなことに同じ『カーディオイド』でも、すべての製品がまったく同じ指向性ではないんです。狭めのカーディオイドもあれば広めのカーディオイドもあるということです。
サンプルで用意したEarthworks ETHOSはスーパーカーディオイドのコンデンサーマイクですが、カーディオイドのダイナミックマイクと近しい特性です。こればっかりは実際に使うまで分かりません。
サンプルで用意したTC Helicon GoXLR Micは、スーパーカーディオイドのダイナミックマイクですが、音を拾うスイートスポットがめちゃくちゃ狭いです。顔の向きが変わっただけで極端に音量が減衰します。ただ指向性が狭くなればいいというわけでもないということも伝わったと思います。
MV7+は、オートレベルモードで録音したこともあって、背面から話しかけてもゲインをうまいこと調整しようとしてくれました。マイク正面の音以外は絶対に拾わせたくない場合はマニュアルモードでもいいかもしれません。
ただ、オートレベルモードだからこそ音量差が少ないということは考慮しておいてほしいポイントです。
驚異的なリアルタイム・デノイザー
今度はMOTIV Mixを導入していろいろと設定をいじって遊んでみました。
百聞は一見に如かずということで、まず聞いてみてください。(結局聞くのかよ)
比較用音声サンプル その1 距離編
比較用音声サンプル その2 囁き編
すっ、すげー!!
リアルタイム・デノイザーのすごいぞポイント
- 距離が開いたときの音質変化が少ない
- 残響音が減る、リップノイズが減る、歯擦音が減る、不快な音にならない
- 5cmと10cmの時は特に距離が変わったことが分かりにくい
- ゲインが大きくなってもバックグラウンドノイズが大きくならない
- 簡易水冷のCPUクーラーのファンノイズがほぼ聞こえない
- それなのに小さい声は途切れず拾ってくれる
- マイク遠め、声小さめが実現できる
- すべてDSPで処理している
- PCに負担が掛からないリアルタイム処理
つまり、性能が究極すぎて、音質向上以外の理由で別途オーディオインターフェイスを使う理由が無いということになります。これと同じことができるオーディオインターフェイスを自分は知りません。少なくとも3万円以下でDSPで同等のデノイザーを使えるオーディオインターフェイスを探そうと思うとめちゃくちゃ大変だと思います。
これでええんか、それでええんかと思ってしまいました。
が、しかし、カーディオイドのマイクをショットガンマイク (カメラ等用のマイク) 的に使っている方はかなり多いんですよね。その使い方をするならいっそヘッドセットのほうが合ってますよ…と思う機会はたくさんありました。
このリアルタイム・デノイザーを使ってみると、距離を制限されないマイク配置が可能になっていると感じました。それと同時にSHUREもたぶん自分と同じような悩みを抱えていてどうにか解決したかったんじゃないかな…と思った瞬間でした。
それでも『マイクを口に近づけることで周りの音に対して相対的に声を大きく収音できる』という基礎的な扱い方は変わらないので、環境音や余計な音を少なくしたいならマイクは近づけたほうがいいです。
環境音の少ないマイク配置のTips
- 目的の音のなるべく近くにマイクを立てる
- 拾いたくない音はマイクの背面にもってくる
- 壁 (音を反射するもの) から遠ざける
あるとないとでは違うポッパーストッパー
ポッパーストッパーも新技術として投入されているんですが、正直なところ効き目がわからん!と思っていたところ、オーディオインターフェイスに接続して使ってみるとちゃんと効いていることが体感できたので、またもやサンプル音声をどうぞ。
MV7+で録音したサンプル
MV7+をApogee BOOMに接続して録音したサンプル
ポッパーストッパーを使って録音した音声はボフボフしていないのが伝わるでしょうか。地味ですが、効いているようです。
つまり、音質向上のためとは言っても、デメリットが多くなるであろうことから、配信用途くらいのライトなものなら、わざわざXLR接続しない方がいいのでは?疑惑が浮上しています。
XLR接続した音質も、ダイナミックマイクにありがちな粒のようなざらつき感が出ています。USB接続での音質は、かなりなめらかに聞こえます。
USB接続時の音の作りこみのレベルの高さを感じられるので、よほどのことがなければXLR接続の出番は無いように思えてしまいます。強いて言うなら、MV7+で高音質な音声素材を確実に低ノイズで録音したい場合くらいですかね。
便利なソフトウェアをチェック
音声処理の具合をチェックすべくMOTIV Mixをインストールしたので、こちらも紹介します。
まだベータ版なMOTIV Mix
MOTIV Mixがリリースされ、MOTIV Desktopと置き換わるようです。しかし、このMOTIV Mixはまだまだベータ版でして、控えめに言って使い勝手がよろしくありません。
ベータ版なので、起動する度にデバイスを追加してあげないといけません。あとWindows起動時に自動起動もしてくれないのでポチポチ手動で起動しないといけません。
やれることをざっくりと説明すると、
- 仮想オーディオドライバーによるミキサー機能
- 仮想input、仮想outputのドライバー追加
- MV7+の設定コントロール機能
- ゲイン、コンプ、リミッター、デノイザー、ポッパーストッパー、ハイパス
- レコーディング (トラックごとの録音ファイルとミックスされたファイルが同時に生成される。)
といった具合に、RODE等の他メーカーのUSBマイクがやっているようなこと (RODE Connect) をSHUREもやろうとしている感じです。ミキサー機能がいるのかどうか正直ビミョーなところではありますが、ループバックを使いたい人からしたらよかったんじゃないでしょうか。
ただその反面、知識が要求されます。『仮想inputにつっこんだ音』を『自分が聞く』のか『自分は聞かず配信に乗せる』のか、いろいろ考えないといけません。
頭がこんがらがる人は多いと思います。DiscordのVCを自分だけ聞いて配信には乗せないみたいな使い方ができます。わかる人は使ってみてもいいかなという機能で、必須機能というわけではありません。
歌配信をするなら声とオケを混ぜてしまってもいいかもしれませんが、ゲーム配信ともなるとOBSでイイ感じに設定できてしまうので、強みが活かせません。
詳しく操作説明をしようかとも思いましたが、大きく操作性が変わりそうなので評価はいったん保留でお願いします。
MOTIV的コントロール
ミキサーにMV7+をつっこむと『歯車マーク』からマイクコントロールにアクセスできました。
MOTIV Desktopsでできていたマイク設定コントロール機能は仕上がっていたので、こちらは気になる方は触ってみていいと思います。
繋いだ時点でオートゲインとリアルタイム・デノイザーが有効になっていました。
Gainがマニュアルゲインかオートゲインかの選択、Toneというのが簡易的なEQ(イコライザー)で、Reverbが歌うときに便利な残響エフェクトであるリバーブです。High Pass Filterが余分な低域カットをしてくれるハイパスです。
基本的にかなりのハイレベルで調整されているので、不都合が無ければオートレベルモードで使ってしまえば良い気がします。とにかく完成度が高いです。今回は以前のMV7のように自分で調整しようと思いませんでした。
Toneは音色がいじれるので、声質や状況に合わせて変えてもいいかもしれません。スライダーで微調整が可能になりました。
Reverbも歌を歌ったり、ゲーム音声をそれなりに大きく設定したいときに声を浮かせることができるので、状況に合わせて使ってみるといいと思います。
マイクに近づいて使ったときにモコモコして音抜けが悪いようならハイパスを使うのもおすすめです。不要な低域をバッサリとカットすることで相対的に高域寄りになり、音抜けのいい音声になります。
75Hzと150Hzが選べるようになっているので、状況に合わせて変えてみるとうまいこと音抜けのいい音声が簡単に作れます。
3.5mm ステレオミニジャックの音質
MV7もそうでしたが、MV7+も異常なレベルで音質が良いです。話してヨシ、聞いてヨシです。
今回はヘッドフォン向け?
MV7の3.5mm ステレオミニジャックはとても音質が良いです。管理人の所有するApogee BOOM (3万円台) とまではいきませんが、それに匹敵すると言ってもいい音質です。とにかくUSBマイクの中ではぶっちぎりで音が良いです。
そのぶん価格に反映されているようにコストもかかっているところではありますが、録音した音をなるべく忠実に再現できるようになっているのはかなり珍しいです。意外とオマケレベルであることがほとんどです。
SHUREは音質が良いのは当たり前のことと思っているのか、あんまりここの部分をプッシュしていないようなんですが、音楽を聴いたり、ゲームをプレイしたり、マイクとして使わない時でも思う存分、有効活用できるようになっています。
ただ今回はヘッドフォンでも大音量を確保してあるせいか、感度の高いイヤモニだと無音時のサーというノイズが気になると感じました。それでも無音時間というのもなかなか無いわけなので、そこまで気にしなくてもいいかなと思っています。
また、マイクの音はモニターしない設定ももちろんできるので、PCだけの音を聞くことができます。
まとめ
MV7+についてレビューを行ってきました。
SHUREが改めて投入した完成度の高いUSB接続のダイナミックマイクです。
コンシューマー向けの製品としては高価格帯になってきますが、当然のように価格に見合うだけの性能を持ち合わせています。
おすすめできるのはこんな方
- 距離やポジションなどを気にせずラフにマイクを使いたい
- 邪魔にならないようになるべくスタイリッシュな外観を求めている
- DSPとソフトウェアが実用的であってほしい
ハードの面こそ2、3万円クラスのダイナミックマイクのイメージですが、DSPでの処理が優れています。DSPとソフトウェアが使えるオーディオインターフェイスを単品で売ってほしいレベルで高品質です。2万円以上しても普通に購入したいです。
今だとオーディオインターフェイスを使った方が高音質なのではないかと思っている方も多いかもしれませんが、そういうわけでもありません。
MV7+に内蔵されたオーディオインターフェイスの品質を越えなければ、アップグレードといかずダウングレードもあり得ます。というか、オーディオインターフェイスはDSPとソフトウェアが本体と言ってもいいかなと思っています。DSPが搭載されていなくてソフトウェアも貧弱であるならわざわざXLR接続にする必要はありません。
そう言えるのも、マイクの距離を自動で検知してゲインを調整してくれる『オートレベルモード』やファンノイズなどを消してくれる『リアルタイム・デノイザー』の品質が極めて魅力的なものだからです。
今までのUSBマイクは『マイクの基礎知識』が要求されていました。自分の声をモニタリングせず配信している方も多いと思いますが、あとで見返してみると音量差が気になる配信になっているかもしれません。
MV7+では、いよいよ『超初心者』が『はじめてPCに接続した状態』で『超まともな高品質の音声』が利用できます。顔の向きが変わってもなるべく音量も揃ってくれますよ。
強いて言うなら、余計な音を拾わないためにマイクはなるべく近づけるという工夫をするだけです。
マイクアームは別途用意したほうがいいですが、スタンドセットも販売されるようなので、まずはそちらからはじめてみるのもよさそうですよ。
そして、後日にはなりますがホワイトカラーが出ます!
価格はブラックもホワイトも市場参考価格は46,200 円 (税込) です。スタンドつきだと市場参考価格は49,500 円 (税込) です。
MV7+さえ入手してしまえば、もう別途オーディオインターフェイスを用意する必要は無いと感じたので、最後のマイクに持ってこいのベストな選択肢です。
ココが良い
- 近づけても視界の邪魔にならない
- 顔が隠れないようにマイキングできる
- 少し離れていても自然な音声を使える
- 文句無しの耐振動性
- オートレベルモードが便利すぎる
- リアルタイム・デノイザーが超実用的
- ポップノイズも除去してくれる
- マイクコントロールが使いやすい
ココはイマイチ
- 光らなくていい (個人的には)
- XLR接続オンリーなら別のマイクでもいい
- ミキサーがかなり使いにくい
サウンドハウスはポイント還元率が高いです。要チェックです。