Xtrfyから販売されているM42についてレビューを行っていきます。
つかみ持ちをするプレイヤーの多くが試すマウスとも言えるM42ですが、最も特徴的なのは交換できるマウス後部シェルです。
有線のマウスとしては円高の影響もあり (2022年8月の記事執筆時点) 1万円以上するゲーミングマウスになってしまいました。
Xtrfy M42 イチオシポイント
- 細くて短めな小サイズ
- シェルが2種類から選択できる
- 現代的な持ち方を完全にカバーできる
- 軽めのクリック感
結論から述べてしまうと、M42はつかみ持ち系に特化した形状です。いろいろと試してみた結果、今までに無い秀逸な操作性を獲得できたためパウブロでは傑作マウスとして紹介することになります。
2種類のシェル形状は既存のマウスとは一線を画す形状であるため、シェルの交換だけでも使用感が全くと言えるレベルで変えられるうえに、どちらも手のひらの付け根に密着させられる形状になっているためマウス操作中の使用感が極めて良いです。つかみ持ちやつかみかぶせ持ちとの相性は2種類どちらのシェルとでも相性は非常に良くなっています。
また、ゲーミングマウスの中でもスリムなマウス先端の細さに対して、本体後部は幅が広めに設計されているため、小型ながら手のひらとの接地面積は多めにできます。安定感のあるフィット感と指先でのコントロール性を高次元で実現しているのも秀逸と言えるポイントです。
ただ、取り付けたシェルによって、若干ではありますが得意なプレイは異なります。そのため、どちらのシェルでどんなプレイに特化できるかという部分が、M42の使用感を語る上で極めて重要な要素になってきます。
この記事は『エンドゲームするまでつかみ持ち用マウス選び』の第三弾です。つかみ持ちに移行した管理人がその必要な要素を解説しながら、今回の買い物が成功か失敗か、本当におすすめできる持ち方はなんなのか、設計思想も考察しながら提案していきます。
M42とは
Xtrfy M42とは、Xtrfyの独自形状をした左右対称マウスです。
メーカーの説明文にはかぶせ、つかみ、つまみ持ち全ての持ち方に対応できると書かれています。しかし、サイズ感は小さいので、現実的には手のサイズが小から中サイズのプレイヤーのつかみ持ち、つまみ持ち向けのマウスです。
センサーはPixart社製3389を搭載し、メインボタンのスイッチは軽いクリック感が特徴のオムロン社製2,000万回スイッチを搭載します。ソールはエッジがラウンドした100 % PTFEで、ケーブルはEZCORD®を採用しています。
中身はきちんとハイエンドと呼べる内容になっています。
スペック
M42 | |
形状 | 左右対称 |
重量 | 59g (ケーブル除く) |
接続 | 有線 USB2.0 USBタイプA |
メインボタン | Omron 20M(OF) |
センサー | Pixart 3389 |
ケーブル | Xtrfy EZcord® |
購入した理由
前回レビューしたViper Miniでしっくり来ていました。
しかし、あのデバイスレビュアー『RJN』ことRocket Jump Ninja氏のMouse Search (手の大きさからマウスを割り出せるツール) を使用してみたところ、Viper MiniよりもM42のほうがおすすめできると表示されます。
【20.7cm x 9cm】で【Very Low】にすると一番上にM42が表示されます。余談ですが、手のひらの幅が9cmくらいの手であればM42は必ず候補としても上がってくるようになっていますね。
そんなわけで、当然、管理人の手にも相性が良さそうだったため在庫があれば購入したかったのですが、長期間の在庫切れが続いていたこともありなかなか購入できずにいました。 (M42が買えなかったからViper Miniを買っていました。)
ある日、M42入荷していないかなーとAmazonを眺めていると奇跡的に再入荷していました。
もちろん迷わず即ポチ購入して我が家にお迎えした次第でございます。
たくさんの方に読まれている『つかみ持ちのやり方』で紹介しているのはこのM42です。
届いたM42をチェック
それではようやく管理人の手元に届いたM42を見ていきましょう。
スウェディッシュなパッケージデザイン
Xtrfyはスウェーデンのメーカーということもあって、パッケージもゲーミングゲーミングしたものではなく、ほんのりとオシャレさを感じられるようなパッケージデザインになっています。
パッケージデザインから読み取れるのはウルトラライトなことやアジャスタブルなことくらいで、あまり詳細なスペックについては過剰に書かれていたりしないのもオシャレさを感じられるようなポイントです。
パッケージサイドのテープを剥がして開封してみると、ディスプレイ形式な内材に収められたM42本体と謎のキーキャップが出てきます。
同梱物
同梱されていた付属品は以下の内容です。
付属品
- ソール 1セット
- 取り扱い説明書 (日本語)
- ステッカー
- キーキャップ
よくあるマウスの付属品といったところですが、キーキャップが付属するのはXtrfyくらいなんじゃないでしょうか。
付属すると言っても、使用していくと劣化が気になってくるABS製なので、そこまでうれしくは感じませんね。
一応、ライティングが透過できるように文字の部分が透明になっています。普段そこまで使わないキーに付けるくらいなら良いんじゃないでしょうか。管理人は何がなんでもPBT製のキーキャップを使いたいので出番は無さそうです。
外観を詳しくチェック
ここからはM42のデザインや装備について詳しく見ていきます。
シェル全体をチェック
シェルの形状は左右対称で形状で、丸みを帯びたデザインになっています。
開封時点で取り付けられているのは後部が高くなったシェルです。わかりやすく後部が盛り上がったデザインになっていますね。
後ろから見てみても全体的にしっかりとRのある局面形状で、平べったさはありません。
後部がなだらかになっているシェルに交換してみるとこんな感じに、どこかで見たことのあるような形状になります。
後ろから見てみると、若干ですが台形に近い形状になります。
グリップ感が乏しい穴の空いた表面
なにやら、M42の表面にはUVコーティングが施されているようです。しかし、このコーティングはあまりグリップ性能が高くありません。ツルツルと滑ることはありませんが、指が貼り付いて引っかかるような感触は得られません。
グリップテープが必須かと言われるとそうではありませんが、指を少ない面積で接する持ち方の場合は指先を力ませると滑っていくように感じるかもしれません。
若干の硬さがあるケーブル
ケーブルは適度な柔らかさはあるものの、ケーブルの重みをケーブルの硬さで自立させてしまってカバーする系のパラケーブルです。
この価格帯にしてはちょっと硬いかなと思います。
巻グセもなかなか無くなりません。しかし、マウスバンジーの置き方を工夫して対処できる程度の癖ではあります。
上向いたケーブル取付部分
ケーブルの取り付け部分は僅かに角度が持たせられています。
バンジーを遠目に置く場合はケーブルが垂れてマウスパッドに擦れてしまうかもしれませんが、近くにバンジーを置ける場合であれば、マウスパッドにはほぼ擦れることがありません。
クリックは軽さが特徴のオムロンスイッチ
M42のメインボタンには比較的軽い操作感が特徴のオムロン 2000万回スイッチが採用されています。ほかにこのスイッチが採用されている有名なところと言うと、Logicool Gのマウスですね。PRO Xも同じスイッチを採用していて、愛用者が多いスイッチです。
近年トレンドのKailh GM8.0スイッチと比較するとかなり軽く感じますが、その分スピーディーに押し込める印象があります。音量も半分くらいなので、カチカチうるさく感じることも無いスイッチになっています。
管理人としては、操作感が軽いとは言っても安っぽさがあるわけではないので、とても気に入っているスイッチです。
ホイールは指先でのコントロール向け
M42のホイールは、位置的には汎用性が高くなっています。つかみ持ち以外でも安定して操作することができるような位置関係です。
ホイールは少ない力で回すことができて、スクロールした時のノッチ感も薄めです。ゆっくり回しても速く回してもノッチ感は一定です。少ない力でホイールを多用する場合は指が疲れにくく、連続入力する操作で相性が良いと感じました。
ホイールクリックは真下に力を加えないと押されることがないので、ホイールを連続で回してもクリックされません。必要な時にだけ真下に力を加えることで少ない力で押すことができます。
汎用的な位置にあるM42のホイールですが、飛び出ししろが多くないこととホイール周辺が凹んでいないこともあって、操作性はあまり良いとは思えません。指を大きく曲げて伸ばす連続入力がしたい場合、指を伸ばす動作でホイール前部のパーツが干渉します。
そのため、指先で回すことを要求されがちな使用感になってしまっています。ホイールの快適さで言うと、この価格帯にしてはウィークポイントとして挙げられます。
ZOWIEやRazer、Xtrfy MZ1でもホイールが回しやすくなるような工夫が凝らされていますが、M42はその工夫を感じることができませんでした。
サイドボタンは指馴染みが良い
サイドボタンはマウス側面から飛び出した形状になっていて、アプローチのしやすさ押しやすさが重視された形状になっています。
感覚的にはメインボタンよりも1段階くらい硬いクリック感の押し心地になっていて、誤クリックを防ぐような設定になっています。指が触れていても押されることはありません。
沈み込みの遊びもほとんどありません。意図的に押そうと力を加えた瞬間に沈み込んで反応します。
位置としてはつかみ持ちをすると親指とかなり近くなります。ほぼもうあとは押すだけの状態がしっくり来ました。管理人の持ち方 (つかみ持ち) ではサイドボタン (前) は常に親指と触れていますが、適度な硬さのあるスイッチになっているので、意図的に押そうとしなければ押されることはありません。
ソールはなめらかな100% PTFE製
Xtrfy M42のソールは純白PTFEソールで、最近主流になっている所謂『面タイプ』の形状よりも狭い面積のものです。
純正ソールの中でも特に品質が良いです。滑り出したときの引っ掛かりの無さとなめらかさは極めて良いものになっています。
ソールはカドがR面取りされています。サードパーティ製のラウンドした形状に匹敵するクオリティの高さで、ソフトクッションマウスパッドでも干渉することはありません。操作感もめちゃくちゃ良いので個人的には交換する必要性を感じません。
また、センサーを囲うソールは開封時点では配置されていませんが、必要であれば付属するソールを貼り付けることができます。
ソールについては特に不満が出ることは無いように思えます。
使用感
ここからはM42の使用感と、どんな持ち方と相性が良いのか管理人目線で解説していきます。
管理人の手の大きさはかなり大きめ (長さ20.7cm 幅9cm) なので参考程度にしてもらいつつも、しっかり設計思想の推察と持ち方の提案はしていくので是非取り入れてみてください。
結論から言ってしまうと、つかみ持ちだけでなくつかみかぶせ持ちでもベストかつマストなマウスです。
つかみ持ちでマストな大きさ
M42はSサイズ相当ですが、手の大きな管理人でもちょうどいい大きさです。
手の大きい (長さ20.7cm 幅9cm) 管理人が持ってちょうどいいと感じられるので、手の小さい人はシェルの形状を合わせればメーカーの説明文の通り、かぶせ持ちができそうな気もしますね。
指先でのコントロールが極めてやりやすい
マウス裏側から見てみると、メインボタンにかけた指ははみ出すかどうかギリギリのところにあります。
管理人は『射撃時に手のひらの付け根に押し付けたい』というつかみ持ちのコンセプトを持っているんですが、M42はマウス先端の高さが低く (薄く) 設計されているため、指先でマウス先端を手のひら側へと確実に押さえつけることができます。管理人のコンセプトを高次元で実現できる形状になっています。
マウス先端をつまむような力を加えながら、シェル後部には手のひらが乗っかっているだけの状態が自然に保てるので、無駄な力みは排除しつつも指先での繊細なコントロールがやりやすく、つかみ持ちでの操作の自由度が極めて高いです。
メインボタンを押す射撃時には、適度にマウス先端をマウスパッドに押さえつけることもできるので、ソフトクッションマウスパッドとの相性も極めて良いです。
シェル交換で手のひらの乗り上げ具合を選べる
2種類あるシェルの形状も秀逸で、手のひらの乗り上げ具合と手首の浮かせ加減を調整できるようになっています。
後部が高くなっているシェルの場合
開封時点で取り付けられているのは後部に高さのあるシェルです。このシェルの場合は、手のひら付け根と接地する面積が確保されつつも手首は浮かせにくい形状になっています。
手首を浮かさずにつかみ持ちがしたい場合は、後部に高さのあるシェルを使うほうがラフに使うことができると感じました。また、後部に高さがあるものの、幅は狭くなっているので、手首の可動域も広く取れます。
センサーの位置的にも多くのマウスと同じくらいの位置感覚で操作できるのが後部が高くなっているシェルのメリットとも言えます。
後部が低くなっているシェルの場合
後部に高さのあるシェルでは手首を浮かそうと思っても手のひらを乗り上げさせにくいので、その場合は高さの低いシェルに交換してみると良いと思います。
このシェルの場合は、なるべく親指以外の指の付け根をマウス後部に触れさせずにつかみ持ちができるようになっています。
シェルの形状的にも自由に手のひらを乗り上げさせることができるので、任意の位置で手首を浮かすことができます。ただ、後部が低めになってはいますが、後部が高くなっているシェルよりもRがゆるく幅を感じるようになっています。
前回レビューしたViper Miniと比較してみると
M42はこんな感じに、下へ行くほどにRがほとんど無くなっていきます。そのため、手のひらの付け根をピンポイントに付けた状態のつかみ持ちをするなら、他に候補が出せないくらいの秀逸な形状になっているかもしれません。
ただ、このシェルの場合、手首の乗り上げ具合によっては一般的なマウス以上にセンサー位置が手首に近くなります。形状的にも手首の可動域が狭くなるため、このシェルで感度出しをすると他のマウスに変えた時に感度を高く感じる可能性があるというデメリットもあるかと思います。
しかし、つかみかぶせ持ちをするなら、どちらかというと後部が低くなっているシェルだと思います。その場合であれば、センサー位置は手首から離れるため、あまり気にしなくて良いポイントかもしれません。
センサーは3389
M42のセンサーにはPixart 3389が採用されています。
初期状態では微妙にDPIが高いらしいです。公式サイトからファームウェアがダウンロードできるので、開封時点でついでにファームウェアアップデートをすることを推奨します。
専用ソフトが無いためLODは変えられないようになっていますが、ガラス製のマウスパッドに変えたり高密度なクロス系マウスパッドに変えてみても、特に変な挙動を起こすことはありませんでした。
ゲーム中にも気になる挙動を起こすことは無かったため、パウブロでは実用には何も問題が起こらないセンサーだと評価します。
まとめ
Xtrfy M42のレビューを行ってきました。
形状は一般的な手の大きさでつかみ持ちをするのであれば頂点と言ってしまっていいと思いました。2種類のシェルで手首の可動域と手のひらの乗り上げ具合を調整できるのはM42だけです。どちらも特徴的な形状で他のマウスでは得られない独特な操作性を実現できます。
おすすめできるのはこんな方
- 手首を浮かせるつかみ持ちをしてみたい
- つかみかぶせ持ちがしたい
- 指先でマウスパッドにソールを押し付けたい
後部が高くなっているシェルは、つかみ持ちで手首の可動域が広く取れるようになっています。後部が低くなっているシェルは、手首の可動域を制限しながらも手のひらの乗り上げ具合を自由に調整できます。また、親指以外の指の付け根を触れさせずにマウスをホールドできる唯一無二の独特な形状にもなっています。
どちらのシェルもつかみかぶせ持ちの適性が十分にあるので、現代的な持ち方を完全にカバーできています。
マウス先端の幅は狭めではありますが、後部の幅は本体サイズにしては広めになっているため、極端に小さく感じることもありません。手のひらの幅が9cm程度の方であれば、ベストな操作性を実現できるマウスの筆頭だと思います。
また、特に指先へ力を加えやすくなっています。マウスパッドの摩擦抵抗を程よく指先で感じ取れるため、トラッキングがメインのゲーム以外でもうまく視点の微調整ができるようになっています。ソフトクッションマウスパッドとの相性も極めて良いため、リコイルコントロール等のメインボタンを押し続ける操作でソールを沈み込ませたい場合にもM42がおすすめできます。
ウィークポイントとしてはホイールの周辺が低くなっていない部分ですね。ホイール操作で指が干渉するのでタップストレイフ等の操作は指先で行うことを要求されます。有線マウスとしては高価格帯でありながらこの部分だけは残念なポイントになっています。
また、約60gで重量感がほとんどありませんが、グリップ性能は良い方では無いため、つかみ持ちではなくつかみかぶせ持ちでは持ち上げにくさを感じるかもしれません。
単純につかみ持ちをするうえでは形状だけを考慮すると1粒で2度おいしいがドハマリする、トップに君臨するべきマウスです。
どちらのシェルが自分に合うかを試す期間も含めて長時間楽しむことができるでしょう。
ココが良い
- シェルが交換可能
- 極めて自由度の高いつかみ持ち形状
- 指先でのコントロールがしやすい
- ソールのなめらかさが秀逸
ココはイマイチ
- ホイール操作がやりにくいかも
- マウス表面は滑りやすい