Endgame Gearから販売されているXM1rについてレビューを行っていきます。
有線のゲーミングマウスとしては知名度のあるモデルです。ご存知の方も多いんじゃないでしょうか。
XM1r イチオシポイント
- 中サイズ
- 水平方向の操作がやりやすい
- 遊びの少ないメインボタン
- 大抵の場合、滑りにくいコーティング
結論から述べてしまうと、XM1rは腕を使った水平方向の操作に特化した形状です。つかみ持ちがやりやすそうな形状に思えましたが、実際に触ってみると本体横幅が広いです。そのため指先に力が入れにくく、つかみ持ちで得られる指先での繊細な操作という部分はやりにくいです。
広めに設定されている本体横幅はマウス後部まで影響し、つかみ持ちを想定した特徴的なマウス後部の盛り上がりにより、指だけでなく手のひらとも接地する面積が多くなるため、腕エイムをすることが想定された形状だと感じました。そのため良い意味で安定感はかなり強いです。
しかし腕を使うことが前提の形状であるため、手首の可動域は狭めです。つまり感度も限定される可能性が高いためゲームタイトルは限定されます。
なぜわざわざこのタイミングでレビューをするのかですが、改めてパウブロでXM1rのターゲティングをより高解像度で行うことが目的です。
今回からはじまるマウスレビューは『エンドゲームするまでつかみ持ち用マウス選び』の第一弾です。つかみ持ちに移行した管理人がその必要な要素を解説しながら、今回の買い物が成功か失敗か、本当におすすめできる持ち方はなんなのか、設計思想も考察しながら提案していきます。
XM1rとは
XM1rとはXM1の後継モデルです。形状としては真横から見ても分かる通り、つかみ持ちが前提になっています。
スペックも現代的で抜かりのない仕様になっています。仕様だけなら極めて先進的なものです。
メインボタンには選別したKailh GM 8.0を採用し、クリック応答時間も極めて短い時間となっており、ゲーマーに向けた極限の仕様を目指して作り込まれています。
スペック
XM1r | |
形状 | 左右対称 |
重量 | 70g |
接続 | 有線 USB2.0 USBタイプA |
メインボタン | Kailh GM 8.0スイッチ |
ミドルボタン | Kailhタクタイルスイッチ |
サイドボタン | TTCマイクロスイッチ |
センサー | PixArt PAW3370 |
ポーリングレート | 125 / 500 / 1000Hz(デフォルト) |
ホイールエンコーダー | ALPS |
クリック検知 | 1ミリ秒以下 |
ケーブル | Flex Cord 2.0 パラコードケーブル |
購入した理由
購入した理由ですが、この記事でも登場したとある持ち方の考察からはじまったことでした。
ZAかXM1の根拠はこれ
— komugipowder@パウブロ (@powblo) March 3, 2022
射撃ボタン or ADSが押される力を吸収できる要素が無いとムダに力むことになる(かもしれない)
その結果ブレやすくなる(クリック時間の長いトラッキングで顕著)
仮説を立てて検証
ただなんとなく試すのでは何がハマったのかわからないと思うんです💩 pic.twitter.com/0TV4kdgChF
このことに気づいた時点ではまだPRO X SLを使っていて、持ち方も『つかみかぶせ持ち』でした。
しかし、自分の不安定なエイムを安定させられそうな感満載のつかみ持ちのコンセプトが自分にハマる予感がしました。
とりあえず、つかみ持ちで重要になるのが本体後部の盛り上がりがあること。
これらがピッタリハマると思ったマウスの候補第一弾がZA13とXM1rでした。
つまりこれ買っときゃ間違いないだろうくらいの確証がありました。(当時は)
届いたXM1rをチェック
それでは無事に?購入完了したXM1rをチェックしていきましょう。
パッケージ
そんなこんなでXM1r DARK FROST (半透明樹脂) が届きました。
クリック応答時間の短さと軽さが強調されたパッケージです。
Endgame Gear自体はドイツのメーカーです。裏面もヨーロッパの国が多いです。日本ではアーキサイトが代理店になっており日本でも正規流通しています。
特にこれと言って無駄な装飾はありません。ストイック系のゲーミングマウスによくあるデザインです。
同梱物
中身を取り出してみるとしっかりと梱包材に覆われたXM1rが出てきました。
さらにビニールに包まれるという豪華っぷり。
XM1rを取り出すとその下に交換用のソールが同封されていました。
XM1rを詳しくチェック
ここからはXM1rのデザインや装備について詳しく見ていきます。
シェル全体をチェック
シェルの形状は左右非対称形状で、上から見ると甲虫感のあるデザインですね。
側面から見てみるとマウス先端が低く、後部が高くなったつかみ持ち向けの形状です。
コレコレ!コレを求めていたんだよ!と高鳴りました。
後ろから見てみると手のひらの広範囲を接地させられそうな平たさを感じる形状になっています。
コーティングは理想的
XM1rの表面は陶器のようなすべすべとしたマットな質感で、手汗をかいてもドライな状態でも滑りにくくなっており、理想的なコーティングです。
これと言って相性問題が発生しにくく、管理人は完璧なコーティングだと感じました。
及第点なパラケーブル
ケーブルは柔らかさはあるものの、ケーブルの重みをケーブルの硬さで自立させてしまってカバーする系のパラケーブルです。
しなやかさとハリとコシが共存しています。茹でる前の二郎系ラーメンみたいな感じです。Not 紐。(あくまでもイメージ)
とは言ったものの、純正ならまあこんなもんでしょうと思えるくらいにはなっているので、マウスバンジーでしっかり浮かせてあげれば何も気にならなくなります。
若干上向いたケーブル取付部分
ケーブルの取り付け部分は若干ですが角度を持たせてあり、ケーブルの引きずり感を少なくする試みが見受けられます。
しかし、ガッツリ上向いた取り付け角度にはなっていないので、バンジーを遠目に置く場合はケーブルが垂れてマウスパッドに擦れてしまうかもしれません。
クリックはかなりハッキリ系
XM1rのメインボタンにはKailh GM 8.0が採用されています。
Kailh GM 8.0の明瞭なクリック感をさらに強調するかのような調整になっているため、超クリッキーな質感です。操作時の音量も大きく、マウス内部の空洞に反響している音も聞き取れます。
また、ソフトウェアによるでバウンスタイムのアプローチではなく、アナログ・メカニカルなアプローチで反応速度が短くなるように選別されたGM 8.0を採用しているため、クリックの個体差が極めて少なくなっています。
遊びも極めて少なく、押した瞬間にクリックされます。しかし、クリック荷重は55~60gfとなっており、少し重めにはなっているので、押そうという明確な意志と操作をしないと押されることはありません。
ホイールはつかみ持ちのための位置
XM1rのホイールですが、特徴的なのはその位置です。
つかみ持ちをした時にちょうど回しやすい位置にホイールが配置されています。
ホイールは少ない力で回すことができて、スクロールした時のノッチ感もあります。ゆっくり回すと明確に、速く回すと薄くなるノッチ感であるため、ホイールを多用する場合は指が疲れにくく、相性が良いと感じました。
ホイールクリックは真下に力を加えないと押されることがないので、ホイールを連続で回してもクリックされません。必要な時にだけ真下に力を加えることで少ない力で押すことができます。
ただ、ホイールの露出はそこまで多くないというのとホイール周辺をザグっていないので、人差し指での操作は問題ないかもしれませんが、中指で大きく大量に回す操作ではメインボタンに干渉すると思います。
メインボタンを押してしまうことはありませんが、中指の腹がメインボタンに接地します。
サイドボタンは親指と距離が近い
サイドボタンはマウス側面から飛び出した形状になっていて、アプローチのしやすさ押しやすさが重視された形状になっています。
感覚的にはメインボタンよりも1段階くらい軽いクリック感の押し心地になっていて、素早く押せる調整になっています。
サイドボタンもメインボタン同様に沈み込みの遊びがありません。力を加えた瞬間に沈み込んで反応します。
位置としては親指とかなり近いです。少しだけ上にずらすだけで押せるような位置関係になっています。管理人の持ち方では特に不都合はありませんがサイドボタン (後ろ) は常に親指と触れています。
ソールは同メーカーのデバイス推奨形状
XM1rのソールは純白PTFEソールです。形状は2種類ありますが、はじめに取り付けられているのは広い面積の4点ソールです。
そして、ソールはカドが鋭利になっていて、沈み込みのあるソフトクッションマウスパッドは想定されていないように感じました。Endgame Gearのマウスパッドにはソフトクッションマウスパッドが無いため、あくまでも理想はEndgame Gearの製品との組み合わせなのかなと感じました。
しかし、センサーを囲うソールが配置されていることもあり、マウスパッドの歪みによるセンサー読み取り不良を無くす試みも見受けられます。
こうなるとよくわかりませんが、ソフトクッションマウスパッドを使用して気になる場合であれば交換すればいいのかなといったところです。
組み合わせの相性もありますが、一般的な硬度のマウスパッドであれば実用上はそこまで差し支えません。
ソフトウェアで微調整できるようになった
XM1rにはソフトウェアが提供されており、多くはないものの、カスタマイズができるようになっています。
ライティングも何も無いマウスなので、正直ソフトウェアは不要に感じている方も多いと思うので、既存のDPIに不足などを感じたら導入でいいと思います。
使用感
ここからはXM1rの使用感と、どんな持ち方と相性が良いのか管理人目線で解説していきます。
管理人の手の大きさはかなり大きめ (長さ20.7cm 幅9cm) なので参考程度にしてもらいつつも、しっかり設計思想の推察と持ち方の提案はしていくので是非取り入れてみてください。
結論から言ってしまうと、やっぱりつかみ持ちがベストです。
つかみ持ちをするには少し大きめ
XM1rはMサイズ相当ですが、Mサイズ相当というのはそもそもつかみ持ちをするには少し大きめです。
手の大きい (長さ20.7cm 幅9cm) 管理人が持っても大きめと感じるので、手の小さい人は別の選択肢を用意した方がいいと思うというのが正直な本音です。
もっとも大きめに感じるのは横幅です。先端の横幅が広く、指先に力を加えるために薬指を伸ばすフォームでは優位性を感じることができません。
この点を受け入れられた方のつかみ持ちにならベストと言えます。
指も手のひらも広範囲でグリップできる
少し大きめのマウスをつかみ持ちするということもあって、指も広範囲、手のひらも広範囲でマウスをホールドすることができます。いわば、かぶせ持ちのような広範囲でホールドしたつかみ持ちが実現できます。
冒頭でも述べたように水平方向の視点移動では、広範囲でホールドできているマウスが手のひらで泳いでしまうことが一切無いためブレを最大限軽減できます。XM1rを使う上でのメリットはここに詰まっています。
つかみ持ちとなると『指先は点でホールド・手のひらは面でホールド』の状態です。XM1rでは『指先も面でホールド・手のひらも面でホールド』の状態が自然なグリップになります。
そのため指先で力む操作よりも、大きく腕を振り回す動作で極めて高い安定感を得ることができます。手の中でマウスの位置が完全に決まって動かないため腕にも力を加えやすく、腕を使った動作での快適性は極めて高いです。
しかし、その反面、指先での細かい操作は苦手です。手のひらの接地する面積も多いため、手首を浮かせないと手首の可動域も狭く、Apex Legendsのような飛んで走ってスライディングしてアクロバティックな視点移動が求められるゲームとは感度を高めにしておかなければ相性が良くないように感じました。
また、手首を浮かせるためにマウス後部に手のひらを乗り上げ気味にするとマウス先端が浮いてきてしまうことがありました。手首を浮かせることは想定されていないように感じます。
かぶせ持ちはつかみかぶせ持ちならできる
また、本体後部が盛り上がっていることにより、手のひらと指をべったりつけるフルかぶせ持ちは向いていません。
指の付け根と指先をつけるつかみかぶせ持ちならできますが、そうなるとホイールが遠いです。ホイールを多用するかどうかにもよりますが、つかみかぶせ持ちをするのであればホイールとの位置関係ももっとハマるマウスが提案できるため、わざわざXM1rにこだわらなくてもいいと思います。
しかし、つかみかぶせ持ちのやりやすさは得られているので形状としてだけで見るならつかみかぶせ持ちに必要な条件を満たせているのでアリだと思います。
安心と信頼の3370センサー
XM1rには安心と信頼の3370センサーが採用されています。挙動については文句ナシです。
トラッキング操作がメインのApex Legendsをプレイしましたが、違和感なく使えています。
LODもはじめからかなり短い低設定になっていますし、マウスを持ち上げる際に不自然な挙動などは一切起きませんでした。
まとめ
Endgame Gear XM1rのレビューを行ってきました。
メインボタンのクリック感やセンサーの挙動は理想的です。
おすすめできるのはこんな方
- 安定志向のつかみ持ちがしたい
- 腕全体を使ったエイムがしたい
- つかみ持ち以外を想定していない
真横から見たフォルムはつかみ持ち向けの形状そのものですが、手首を使うには手のひらとの接地面積が多いため、腕を使うエイムを想定した横幅のマウスです。
手首も使う場合は感度を上げた方がいい結果は得られそうですが、高感度に適応できるかどうかという部分も問題として浮かび上がります。また、指先に力を加えにくいのでトラッキング操作を指先でコントロールしている場合はミスマッチする可能性が考えられます。
VALORANTのような横軸での視点移動が求められるゲームとの方が相性は良いと感じたため、なるべく余計なブレを消すために、かぶせ持ちのような安定感を持ったつかみ持ちをしたい場合に有力候補として挙げられるゲーミングマウスです。3Dな視点移動操作が求められるApex Legendsでは操作の幅が狭く感じるため長所が活かしにくいと感じました。
また、ホイールの位置がつかみ持ち以外を想定していないため、つかみかぶせ持ちで検討している場合は、ホイールを多用したいのかどうかを重要視した方が失敗はしにくいです。
しかし、接地面積を多くできるということもあって、70g台ですが重量感がほとんどありません。持ち上げやすい形状と抜群なフィット感のコーティングも相まって、軽量な有線マウスとしてはバランスの良さが光ります。
腕全体を使う操作でつかみ持ちをするのであれば手放しでおすすめできます。
ココが良い
- 薬指を曲げるつかみ持ち特化形状
- 明確なクリック感
- つかみ持ちでちょうどいい距離のホイール
- 接地面積が多くできて重さを感じにくい
- ドライでもウェットでも秀逸なコーティング
ココはイマイチ
- 横幅は広く指先に力を入れにくい
- 全体的にそれなりに大きい
- ホイールの位置は汎用性が低い
- 操作方法が限定される
- 完全につかみ持ち特化形状