マウスの持ち方として『つかみ持ち』によく似た『つかみかぶせ持ち』という持ち方があります。
『つかみかぶせ持ち』は『つかみ持ち』とあまりにも似ていることから、度々『つかみ持ち』と紹介されがちです。そして推奨するマウスもかなり似てきてしまいます。
しかし、混同してしまっても良いほどにつかみ持ちとほぼ同じの持ち方と考えられるかと思いきや、マウスに作用する力は全くの別物です。混同すると確実にマウス沼にハマります。
今回はそんな『つかみかぶせ持ち』のみにフォーカスし、『つかみかぶせ持ち』のやり方やどんなメリットが得られるのかを深掘りしていきます。
また、つかみかぶせ持ちに適正のあるマウスも同時に紹介していきます。
つかみかぶせ持ちとは
つかみかぶせ持ちとは『つかみ持ち』に『かぶせ持ち』の要素を強く加えた持ち方です。
つかみかぶせ持ちでマウスに触れることになるのは指先の他に手のひらの青くマークした部分です。指先と主に人差し指と中指の付け根がマウスに強く接することになります。
リコイルコントロールなどの縦の動作で青くマークした部分がマウスから離れることも起こる持ち方です。
手のひらの赤くマークした部分だけが触れている場合は単純につかみ持ちです。この手が触れる箇所の説明だけをしていると、ほぼほぼ同じ持ち方なんじゃないかと思われるかもしれませんが、これだけの差でもマウスに作用する力はまるで別物になります。
最大の差は『つかみ持ちは手首が浮くこともある』けど『つかみかぶせ持ちは絶対に手首が浮かない』という部分です。
また、つかみかぶせ持ちとだけ言うだけあって、かぶせ持ちの要素も加えられていきます。単純なつかみ持ちに発生しない力が発生することが最大の特徴です。
つかみ持ちについては以下の記事を読んでみてください。
どちらかというとマウスを押し付ける持ち方
つかみかぶせ持ちはマウスを持つ手はつかみ持ちのようなフォームですが、指先と指の付け根でマウスをマウスパッドに押さえつけることになるような持ち方です。力を加えていくとマウスの挙動を極端に重たくできる持ち方にもなっています。
上から見るとメインボタンに乗せた指はかぶせ持ちのように伸びた状態です。かぶせ持ちと似た指の配置は、メインボタンに力を加えた時にマウスをマウスパッドに押し付けるような力が加えられるようになっています。しかし、薬指と小指はつかみ持ちのように曲がった状態で配置されます。
上から見ただけでは指の付け根がついているかどうかの判別はできませんが、単純なつかみ持ちはメインボタンにかけた指が伸びることは無いので、指が伸びていれば高確率でつかみかぶせ持ちであると推測ができます。
裏から見てみるとつかみ持ちのようにも見えてしまいますが、つかみ持ちのように手のひらの付け根がマウスと密着していません。指の付け根が接することになるのでマウスを指全体で持っているかのように見えます。
同じマウスをつかみ持ちしてみると指の配置が全く異なること、手のひらの露出具合も大きく異なることが確認できます。
作用している力
つかみ持ちで作用している力は以下の画像が分かりやすいです。
つかみかぶせ持ちはメインボタンをクリックした時、クリックされる力をマウスパッドに吸収させるようになっています。つかみ持ちではあまり作用しない力です。
このメインボタンをクリックしたとき、記事中で何度も説明しているようにマウスがマウスパッドに強く押し付けられることになるわけです。
詳しいメリットについては後述していきます。
メリット・デメリット
ここからはつかみかぶせ持ちのメリットとデメリットについて説明していきます。
メリット
つかみかぶせ持ち最大のメリットは、脱力した場合でも力んだ場合でも、親指と薬指、小指でマウスをサイドから挟み込むように保持することになるため、つかみ持ち以上にマウス水平方向のセンサー位置がほぼ同じ位置で固定できることです。
そして散々言ってきたマウスをマウスパッドに押し付けやすい持ち方です。
メインボタンに力を加えるだけでもマウスをマウスパッドに押し付けることができるため、マウスパッドのクッションを意図的に沈み込ませ、滑り具合を指先でコントロールしやすいです。特にADSホールドでのトラッキング操作との相性は極めて良いです。ソフトクッションマウスパッドの恩恵を最大限に受けることができます。
そして、マウスに触れている部位が手のひら上部から指先になるので、手のひら付け根から手首はマウスが干渉せずフリーな状態を保てます。つかみ持ちのように手首が浮くことも起こらないため、手首の可動域がどの持ち方よりも広くできます。
つかみ持ちのようにマウスを下げられる量も固定されないため、指の屈伸を利用したリコイルコントロールが可能になっているのも特徴です。肘以外でも繊細な垂直方向のコントロールを行いたい場合、つまみ持ちほど不安定にならない持ち方として選択肢に挙げることもできます。
そもそもセンサー位置が手首から離れる持ち方ということもありますが、eDPIが比較的低めであっても手首を広く動かすことができます。つまり、感度の低さを手首の可動域の広さでカバーすることも可能になっているため、ローセンシでもなるべくマウスを置き直すことなく振り向き動作が行えるのも特徴的です。
センサー的な目線で考えると、力んだマウス操作をしても横ブレをなるべく消せる持ち方です。
操作性の目線で考えると、肘と手首を混合でエイムをする場合なら、マウスを置き直さなくても視点移動量をかなり多くできること、ソフトクッションマウスパッドのクッションを沈み込ませる動作が繊細に行えることです。
デメリット
デメリットは比較的わかりやすい持ち方ではあるものの、マウスの垂直方向が毎回同じ位置で固定されるわけではないので、感度が定まらないかもしれないという部分です。持つ位置が安定しないことにより、手首の可動域が広いものの手首の操作ブレが起こるかもしれないという部分もデメリットというよりはリスクと言ってしまっていいんじゃないでしょうか。
つかみ持ちのように手のひらで射撃時にずり下がりを防止していないのは、良くも悪くも安定志向というよりもつまみ持ちのような上ブレを狙う操作だと言えます。当然、ずり下がったまま使えば垂直方向のセンサー位置がずれた状態になるため、手首で行う操作感度が若干ズレてしまえることにもなります。
また、腕と手首を複合的に使ったエイムを常時行う必要が出てくるため、一日の平均プレイ時間が長いプレイヤーでないと操作を標準化している場合でも無い限り、試合中のエイム感覚を忘れやすく、不調も出やすくなる可能性が高いです。
また、どんなマウスでもそれなりにいい感じなつかみかぶせ持ちができてしまうため、極めて沼にハマりやすい持ち方です。
逆に言えば、一日の平均プレイ時間が長いプレイヤーには極めて操作自由度が高い持ち方なので、取り入れてみる価値がある持ち方と言うことができます。
単純にメリットで挙げた内容について実践していない場合は、デメリットのみが目立つ持ち方だと思うので、エイムが悪い直接的な原因になっているかもしれませんね。
つかみかぶせ持ち向けマウスとは
つかみかぶせ持ちはどんなマウスでもそれなりにいい感じに持ててしまう持ち方ですが、選ぶ基準は一応あります。
また、つかみかぶせ持ちは、マウス後部のこぶに指の付け根を置くことになるため、つかみもちとほぼ同じマウスを推奨することになります。しかし、つかみ持ちと作用する力は別物なので、純粋なつかみ持ちプレイヤーの意見は参考にしないように注意してください。その逆も然りですね。
選ぶ形状はコレ
つかみかぶせ持ちにはマウス側面から見た時にマウス後部に高さのある形状、指の付け根を乗せる位置が決まっている形状に強い適性があります。
また、小型でマウス前方よりもマウス後部の方が幅広になっているマウスを選ぶといい感じに親指と小指薬指を固定しやすいです。いわゆる『クビレ』のある形状で上から見たらひょうたんのような形状になっているマウスです。
Logicool G PRO X のような『Not ひょうたん形状』は親指と薬指小指の位置が迷子になりやすいので、デメリットでも述べた『一日の平均プレイ時間が長いプレイヤー』以外にはおすすめしにくいです。
おすすめマウス
紹介するマウスは全てSサイズですが、つかみかぶせ持ちは『マウス前方よりもマウス後方に幅がある形状』だと決まった位置で持ちやすいです。全体的な大きさよりも重視した方が良いポイントになっています。管理人の手の大きさは長さ20.7cm幅9cmです。
Xtrfy MZ1
Xtrfy MZ1 | |
センサー | Pixart PAW3389 |
スイッチ | Kailh GM 8.0 |
ケーブル | Xtrfy EZコード Pro |
重量 | 56g (ケーブル含まず) |
いきなりひょうたん形状ではありませんが、つかみかぶせ持ちのために作られたマウスです。一般的なマウスを使う場合はひょうたん形状が重要になりますが、このマウスはつかみかぶせ持ち特化になっているので、そんな必要はなかったわけです。
最大のポイントはわずかながら『左右非対称形状』であることです。絶妙にエルゴノミクス形状なおかげで親指と小指薬指を置く位置が迷子になりません。センサーもマウス前方寄りになっているので、可動域がめちゃくちゃ広いです。
今更だけどXtrfy MZ1ってちゃんと左右非対称形状なんですね…
— パウブロ/komugipowder (@powblo) June 28, 2022
裏面見るとソールの形が微妙に左右対称じゃないなとは思っていたんですが…🙊 pic.twitter.com/YmWMOEnttb
ケーブルも非常に取り回しの良い柔らかさで、重量自体も56gとかなりハイスペックです。
製品価格は高めになっていますが、つかみかぶせ持ちしかする予定が無いのであればもうこのマウスで良いでしょう。
Xtrfy M42
Xtrfy M42 | |
センサー | Pixart PAW3389 |
スイッチ | オムロン 2000万回スイッチ |
ケーブル | Xtrfy EZコード |
重量 | 59g (ケーブル含まず) |
上で紹介したMZ1よりも癖の少ない形状で、2種類のシェルから指の付け根を置く位置を選べます。
持ち方の説明時に使っているのはこのマウスで、秀逸なひょうたん形状になっています。
ただ、若干滑りやすいコーティングになっているので、メインボタンにかける指はなるべく伸ばして使用することが求められるかもしれません。
出荷状態だとDPIがおかしいみたいなので、ファームウェアアップデートを実施してから使ってください。
定期的に再入荷するので転売価格では買わないでください。(重量増になりますが、ワイヤレスモデルも発売中です。)
Fnatic Gear BOLT
Fnatic Gear BOLT | |
センサー | Pixart PAW3370 |
スイッチ | Kailh GM 8.0 |
ケーブル | 充電用パラケーブル |
重量 | 約67g |
小さめなMサイズで、汎用性が高い形状をしています。
弱ひょうたん形状、何とも言えないサイズ感で、もし、つかみかぶせ持ちから他の持ち方に移行する場合でもこのマウスであれば潰しが効きます。
ただ、マウス表面は手汗をかいていない場合だとかなり滑りやすくなっています。つかみかぶせ持ちをする場合は、マウスを持ち上げることになる指部分にグリップテープを貼り付けたほうがいいです。
ソールの品質は随一です。付属品の中でもかなり高品質なので、トータルで考えると割安感あります。代理店が頑張っているので、極端な円安にも関わらず価格が安く抑えられています。
Cooler Master MM711
Cooler Master MM711 | |
センサー | Pixart PAW3389 |
スイッチ | オムロン 2000万回スイッチ |
ケーブル | FIXED ULTRAWEAVE ケーブル |
重量 | 約60g (ケーブル含まず) |
つかみ持ちでは伸ばした薬指が、メインボタンのガンダムみたいな形状部分へ干渉するという困ったちゃんですが、つかみかぶせ持ちをすると幅広なマウス後部で指の付け根をめちゃくちゃホールドできます。
クリック感は安っぽい感じがするので、残念な要素は目立ちますが、まずは安い価格からはじめたいのであれば、ぶっちゃけこのマウスですね。
出荷状態だとDPIが微妙に低いらしいので、専用ソフトのMasterPlusをインストールしてファームウェアアップデートを実施してください。
ZOWIE ZA13-C
ZOWIE ZA-13C | |
センサー | Pixart PAW3360 |
スイッチ | Huano BlueDot |
ケーブル | パラケーブル |
重量 | 約67g (ケーブル含まず) |
M42の後部が高くなったシェルを一回り大きくしたようなマウスで、指の付け根を安定して置くことができます。ひょうたん形状になっています。
しかし、高さがかなりあるので、指が短い方だとメインボタンにかけた指が、ほぼかぶせ持ちみたいな指の配置になるかもしれません。使う人を選びそうな形状なので、どうしてもこのマウスがいい場合で無い限りM42で良いと思います。
まとめ
つかみかぶせ持ちとつかみかぶせ持ち向けマウスについて解説してきました。
水平方向のセンサー位置は固定されているものの、垂直方向のセンサー位置は状況によって変わることができてしまう持ち方です。
そのため、一日の平均プレイ時間が長いプレイヤー向けな持ち方だと思うので、極端に弾が当たらない日があると感じた場合、つかみ持ちの方が安定したパフォーマンスを引き出すことができるかもしれません。
そんなこともあって、指を置く位置が明確に決まったマウスをおすすめしたいですね。
とりあえず迷ったらMZ1かM42です。
かぶせ持ちかつかみ持ちが圧倒的に多数なのはプレイに安定したパフォーマンスを求めるからかもしれません。